先日来られた患者さん、
いまどき珍しい、俗に言う"山ん婆ギャル"。
顔は真っ茶色、
台風の中を歩いてきたかのような振り乱した金髪、
真っ白い唇、
目の周りにはアライグマかと思うような幅広真っ黒なメイク。
「私、この顔が嫌いなんです!」
(この顔って、どんな顔?)
やや後ろに座っているのは付き添ってこられたお母さん。
説得するのにも疲れ切ったご様子。
「このモデルさんみたいな顔にしてください。」
「う~ん、無理。」
予診表を見るとまだ17歳。
メイクの奥はまだ子供っぽさが抜けていません。
まず第一に、ココまで派手に化粧されていては何処をどういじっていいものか見当もつかないのです。
「とりあえず、何処が気になるの?」
「全部です!」
「じゃ、どうしたいの?」
「パッチリ二重にしてぇ、目頭切開やってぇ、鼻も高くしたい。あと、顎も。唇も薄くしたい。外人みたいな顔。」
(うわぁ、フルモデルチェンジかよ...)
後ろでお母さん、溜息。
困っちゃったなぁ、若いからなぁ、どういう風に言うのが良いのかなぁ。
既に彼女の頭の中には、完成予想図が出来上がっているご様子。
ココは一つ、大人としてビシッと言わなくてはいけません。
「あのね、一気に全部やるのは辞めようよ。」
「どうしてですか?あたし、早く綺麗になりたいんです。」
「いや、だからさ、お金が掛かるのは勿論だけど、その前に君の顔はまだ出来上がっていないんだよね。まだまだ子供の顔なんだよ。未完成の状態で弄りまくっちゃったら、その後どう変化していくか予想付かないよ。」
「そんなの先生に関係ないでしょ。」
「関係あるよ。だって僕の患者さんになるかも知れないんだもの。」
「待っていられないんです!」
「あのさ、お料理だってチョットづつ味を見ながらお塩とかお砂糖とか入れるでしょ。人の顔だって同じことだよ。チョットづつ変化を見ていきながらその後の方針を立てるほうがいいと思うんだよね。」
「だからそれが嫌なの!」
「それも待てないんだったら、君には手術を受ける資格は無い!」
「馬鹿じゃねぇの?コイツ」
(おお、さすがに若いね。)
荒い鼻息と共に椅子を蹴っ飛ばして退場。
お母さんがぺこりとお辞儀して追いかけて行きました。
たしかに美容医療技術の発展は著しいものがあります。
頑張れば全く別人の顔に作り変えることも不可能ではありません。
しかし、それは如何なものか。
あくまでも自分のポリシーではありますが、患者さんに言われるがまま"A"を"B"に作り変える事は美しくない気がします。
"A"を"A+"、"A++"へ。
あくまでも本人の気持ちと基礎を尊重した上でより高いレベルに誘導していくのが本来の美容外科医の仕事だと思うのです。
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