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酒の一滴は血の一滴

第102回 手術

外科医たる者、結果が全てです。

どんなに先輩だろうが、
どんなに立派な肩書を持っていようが、
どんなにたくさんの論文を書いていようが、

結果の伴わない手術には何の価値もありません。

言い方を変えると
今まで聞いた事もないようなクリニックで
特に肩書を持っておらず、
若くて、
頼りなさそうに見えても、
手術の上手な先生は、一発で尊敬の対象です。
どんなにいけ好かない人間であっても一目置かずにいられません。

どんなに小さな手術でも、毎回全力投球。
それも、いつも同じ事ばかりやっていては進歩がない。
より速く
より確実に、
より安全に、
より綺麗に。
毎日の勉強と練習は欠かせません。
可能な限り学会や勉強会に参加し、
色々な発表の中から"良いとこ取り"させてもらい、
可能であれば演者の先生に質問させてもらう。
更に可能であれば、その先生のクリニックで見学させてもらう。

「武藤君、いつでもいらっしゃい。」

美容外科という業界において、43歳はまだまだヒヨッコ。
自分が師匠と慕う先生が日本全国に7,8人います。
(弟子とは認識されていないとは思いますが...。)
行けば、その日に合わせて自分の勉強したい患者さんの手術を集め、
たっぷりと、濃厚な、生きた授業を
惜しげもなく披露してくれるのです。

「フフン、小僧にはまだできない芸当だろ。」

なんて思っているかはわかりませんが、
ヒヨッコとしては、これが何にも代え難くありがたい。
札幌に戻り、
シミュレーションを重ね、
いざ本番。
終わってから、また新たな疑問点の出現。

「先生、ここは判るんですが、こーゆー時は...。」
「うん、良く気づいたね。そーゆー時は...。」

文字通り、手とり足とり解説してくれるのです。
これが外国人の先生となると、さらに複雑。
また会いたくても会えるかどうかわからない訳ですから
その瞬間が必死です。
お互いに拙い日本語と英語と、時に韓国語で
箸袋の裏に絵を描きながら、
「あーじゃない、こーじゃない。」
時間の経つのが、あっという間です。

韓国の高先生と居酒屋で
(韓国の高先生と居酒屋で)
箸袋の裏を使って埋没法の検討
(箸袋の裏を使って埋没法の検討)

父が臨床の現場から退いて既に3年。
他界して1年。

訊きたい事、教えてほしい事が今になっていっぱいです。
当時は反発してあえて訊かなかったり
言われても却下したり、

勿体ない事してたなぁ...。

親父との最後の共同手術
(親父との最後の共同手術)

(2010年02月25日)

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