北海道大学公共政策大学院准教授、中島岳志さんから、ホームレス関連の
お話を伺いました。翌日、小生は早速、北大生協2階の書籍売場へ―。
ここで、ホームレスの自立支援雑誌『ビッグイシュー』のバックナンバー
フェアをやっているのです。
レジ前に設営された『ビッグイシュー』コーナーの一冊一冊をたんねんに
見ました。この雑誌は、ホームレスが販売しているという点を抜きにして
も、注目される内容だろうか?という検証をしたかったのです。
まず表紙がカッコイイ。ローリング・ストーンズ、バイク姿のニコラス・
ケイジの号などは、小生、迷わずジャケ(?)買いです。
それから、特集記事の多彩さが、いい。「フリーターの今と未来は?」と
いう予想通りの特集もありましたが、その一方「ドラマなき日常を生きる
僕らの演劇生活」、「スペシャルインタビュー、エリック・カール」、
「ようこそ児童・YA文学の世界へ」!などなど、意外なタイトルもあり
びっくりしました。読めば分かることですが、この雑誌はホームレスの人
達が作っているのでもなければ、ホームレスのことばかりが書かれている
わけでもない―。まさに『ビッグイシュー』が謳う雑誌コンセプトの一つ
【意外性を極めるポストエンターテインメント雑誌】そのものです。
また、記事の中で一番人気だという「今月の人(販売人)」ページ。
これには思わず引きこまれました。特に同世代の販売人紹介は飛ばし読み
できません。小生だって一年ごとに雇用更新をされる非正規職員です。
来年はこのページに載っている可能性も...いや、雑誌を売る展開だって、
無いとは言いきれない。
一冊300円の『ビッグイシュー』をホームレスから買うと、160円が
彼らの収入になるというビジネス。そう、これはチャリティーではないの
です。思わず自分が販売人になった気になり、6冊を購入した小生。これ
で960円が、販売人の収入になりました。大変だなぁという実感が、
手にした40円のお釣りからふつふつ湧いてきます。
実はこの雑誌については、渡邊編集長も以前コラムで触れています。
2008年7月3日『褒められもせず苦にもされず』「ホームレスはどこへ」
編集長は北海道庁北門前で『ビッグイシュー』を購入していたようです。
ひるがえって小生、これまでにこの雑誌を、直接、販売人の方から買った
ことがありません。今回はバックナンバーを入手して、それで終わっては
いけない気がしました。販売人を探さなくては―。
『ビッグイシュー』は、販売人の手から購入してこそ、何かが伝わる雑誌
なのだと感じ始めていました。
北大生協の方に販売所と販売人を紹介したチラシのコピーをいただいて、
小生、道庁北門周辺をぐるっと回りました。編集長が買ったであろう菊池
さんを探して―。しかしまだ時間が早いのか、見つかりません。
次に、大通りのジュンク堂へと向かいました。ここの四辻も販売所です。
果たしてジュンク堂書店札幌店前販売所に販売人、村田さんはいました。
近づいてみると、周辺にたくさん人はいるのに、誰も村田さんをちゃんと
見てはいません。信号待ちをしながら、遠巻きです。
「村田さんですか?」
声をかけると口角が上がって笑顔になった人がこちらを向きました。想像
していたよりずっと若い。同世代かもしれません。
「『ビッグイシュー』の最新号をください。」
「ありがとうございます」
小生の声で、立ち止まった人が見ています。
1000円札を出しました。
何だろうと横目で見て行く会社員風。
「ありがとうございます」
村田さんは小型のプラスチックケースから、
ジョニー・デップが表紙の『ビッグイシュー』132号を
大事そうに取り出して、わたしてくれます。
それから腰につけたポーチから、700円のお釣りをくれました。
「ありがとうございます」
吐く息が白い。村田さんが着込んだアノラックが擦れる音がしました。
外はかなり冷え込んでいるのです。
小生、暖かい地下道に降りてから、村田さんは「ありがとうございます」
しか云わなかったことに気がつきました。
それは、とてもシンプルで美しい「ありがとうございます」でした。
『ビッグイシュー』のサイトで読んだ、創始者、ジョン・バード氏の言葉
が、ふっと胸を掠めます。【仕事は人々に平等を与える一番のツールだ】
という一文。
「ありがとうございます」は、ほどこしに返す言葉ではないのです。
それは、物を売って対価を得たことに対する、ビジネスの礼儀なのだ、と
思い到りました。
冒頭の、中島さんのお話に戻ります。
北海道には実数にして200人のホームレスがいるそうです。しかしその
数を想像できる道民は少ないでしょう。身ぎれいにしないと追い出される
土地柄(?)なので、一見してホームレスだとはわからない格好だからと
中島さんは云います。そこにいるのに、見えていないのです。
家を得て、ホームレスではなくなった方々の【再路上問題】も増えている
そうです。
用意された自立支援施設が街の中心部にはないため、誰とも話せない安全
な環境より、危険をともなっても仲間のいる路上の方がいいという心情に
よるものなのだとか―。
この【再路上問題】が示唆するものは、いったい何でしょう?
12月15日(火)、地下鉄大通駅コンコースで、冬季期間限定のブース
売り場が設置されます。地方自治体が、路上ではなく、ブースで売らせて
くれるだなんて、全世界的にも前代未聞だそうです。
中島さんは、見えないものを、見えるようにすることが、ホームレス問題
解決の第一歩だと云いました。このブースも、その一歩だと感じます。
期間中、まず一度、このブースに足を運んでみてください。
小生も実感しましたが、手わたしでなければ伝わらない何かがあります。
目の前にいるその人に、菊池さん、村田さん、原田さんという名前があり
ます。呼びかけて300円を支払い、興味津々の雑誌を一冊と、シンプル
な「ありがとう」を受け取ってほしいのです。
それが小生にもできた、ささやかにも具体的な一歩です。
この一歩を愚直に何度も繰り出すことを、共に「歩む」というようです。
『ビッグイシュー』とは、売る側も、買う側も、人間としての礼節を知る
―ごくごく基本的な、コミュニケーション練習なのかもしれません。
『ビッグイシュー』は、毎月1日と15日の発売です。
※ 北大生協×ビッグイシュー"バックナンバーフェア"
期間: 11月24日(火)~12月19日(土)
場所: 北海道大学生協 書籍部Clark(生協会館2F)
問い合わせ先: 011-736-0916(北大生協書籍部)
※ 12月15日~3月31日(冬季期間限定)
札幌市営地下鉄大通駅コンコース(福祉ショップ「元気ショップ前」)
に『ビッグイシュー』ブース売り場を設置。
最新号(バックナンバーも)こちらで購入できます。
※ 『ビッグイシュー日本版』についてはこちらをどうぞ。
ホームページ http://www.bigissue.jp/
※ビッグイシューさっぽろ についてはこちらをどうぞ。
ホームページ http://bisapporo.web.fc2.com
メール big.issue.sapporo@gmail.com
Tel 080-4040-1914
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第10回 『ビッグイシュー』を、村田さんから買う。
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ビッグイシュー」は
やっぱり販売人から買うことが
大切だと思いますよ。
でも、「買ってあげる」ではなく、
僕の場合「あ、新刊でたんだ。1冊ください」
みたいな感じで、さらっと買ってます。
実際、おもしろい雑誌だし。
watanabeさん
そうそう。この雑誌、まず面白いんですよね。
今日、カフェエスキスで『ビッグイシュー』のフライヤーも手に入れました。コンセプトは【若者のオピニオン誌】とある。
実際、20代~30代の女性が購買層の主力とか。
我ら少数派らしい。見るまえに跳べるのは女性ばかりなのか?
少し悔しい。