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図書館司書ケイトのであってしまったんだ備忘録

第34回『高校生はこれを読め!』は、生きのびるための回路

このタイトルを読んで、余計なお世話だと思う向きもあるかもしれない。
それでも小生、敢えてこう題したプロジェクトに現在関わっています。

第1回『本を愛する大人たちのおせっかい 高校生はこれを読め!』
(フルタイトル、ちょっと長い......)
今夏7月23日~8月29日まで開催される、書店・図書館共同ブックフェアの名称です。主催は北海道書店商業組合。協力:北海道立図書館、札幌市中央図書館、北海道高等学校文化連盟図書専門部、北海道読書推進運動協議会―。って、こう並ぶとモノモノしいですが、要は本を愛する者たちがたのしむ祭りです。
ブックフェアのリストは、「高校生に読んでほしい本を教えてください」というアンケートにもとづくものです。今年の4月、全道すべての高校、すべての市町村の図書館に実施されました。集められたアンケートにあった約1000冊をもとに、6月、書店員・公共図書館司書・大学図書館司書及びボランティア学生らによる実行委員会が541冊の推薦本をリスト化したのです。
何を基準に? 愛を基準に―。

だからこのリストはスタンダードな推薦本リストではありません。高校生にあらゆる分野の推薦本を読ませようという目的は、ない。
伝えたいのは、誰かの「思い」なのです。リストにあげられた一冊一冊はどれもこれも、どこかの誰かの「本への愛着」が発端です。
見知らぬ誰かがこの一冊を紹介したいと思い、見知らぬ誰かがいいね、と賛同しました。これって、謂わばコミュニケーションの基本では?
「ここに掲載された本は、どれも最低二名が推薦したことになりますね」とは、書店組合の理事長、くすみ書房の久住さんの弁です。

サラッとした愛も、かなり粘っこい愛もあります。新しい愛も、古くから受け継がれてきた愛も、「おおっ、これに固執するか?!」というマニアックな愛も、「やっぱり、これは愛されるよね」という博愛もあります。
何せ541冊もあるのです。一冊くらいは自分の好みに合うと思います。

久住さんが始めた「本屋のオヤジのおせっかい、中学生はこれを読め!」という中学生向けブックフェアは、今年で7回目を迎えるそうです。
その間に書店業の廃業が相次ぎ、当初60軒あった開催書店は、現在では約半分になってしまったとのこと。本屋さんのない地域が増えているのです。そこで「高校生はこれを読め!」では、図書館が書店と手を結びました。国民読書年でもある今年、町の本の文化を守るためのコラボです。

正直冒頭であげたように、小生も最初は懐疑的でした。自身、「読め!」といわれれば、そっぽを向くタイプの高校生でしたから―。
それがなんだってこんなに熱く語るようになったのかといえば、やっぱり「思い」にヤラレてしまったからです。
今回のリスト、実は9月末に北海道新聞社から刊行されることが決まっています。書籍化にあたり、様々な分野に働く大人達がリストから選んだ本の推薦文を書いてくださいました。小生、この大人達に打たれたのです。

原稿を依頼すると、何名もの方が「あの本はリストにあるかな......」と、
思い入れのあるご自分の一冊を気にされました。ふだんは忘れていても、心の中には「あの本」が眠っている大人たちがこんなにもいる―と、小生嬉しくなりました。それをまた皆さん、ご自分の言葉で語ってくださっている。さまざまな現場の第一線で働く方々の来し方が、推薦文にも透けて
見えてくるのです。「あの本」が、「いまのここ」に、繋がっているのだなぁと、小生、確信し、書店や図書館の存在意義を改めて思いました。
繋がりとは何も直接的な繋がりばかりではありません。司書が司書の出てくる本に感動して司書になった―なんていう単純な物語ではありません。まるで違う職種の方々が、同じ本を、心のより所にあげていたりします。そう、読書は目的ではないということですね。探しているものがみつかるとは限らない。読んだからって、ナニモノかになれるわけでもない。おせっかいな大人たちにできることはただ、ほら、自分はこんな風に生きのびてこれたよ、って示すことだけです。回路は多いほどいいのです。541通りの生きのびるための回路が、『高校生はこれを読め!』なのです。

百聞は一見にしかず、です。ぜひ道内23軒の書店と48の図書館(室)施設へお出かけください。参加書店・図書館はこちらでご確認を―。
http://www.k2.dion.ne.jp/~sa-shibu/koukou/index.html 
たとえばフェアの期間、札幌市中央図書館では「この夏、あの夏、図書館で出会ったこの1冊」というコーナーに、約500冊を並べるそうです。 高校生もかつて高校生だった方も、「あの本」を確かめてみてはいかが? もしもそこにあったなら、あなたには一人、思いの繋がる誰かがいます。


(2010年07月22日)

コメント(6)

新井素子  「星へ行く船」「ブラックキャット」「グリーンレクイエム」
栗本薫  「グインサーガ」「伊集院大介」
眉村卓  「なぞの転校生」「ねらわれた学園」
赤川次郎 「三毛猫ホームズ」
星真一  「きまぐれロボット」
筒井康孝 「にぎやかな未来」
遠藤周作と渡辺純一はエッセイオンリー

こんな私は高校生に胸を張れません。

>H.Mutou 様

センセイ、SFファンなんですね。眉村卓のこのシリーズはTV
ドラマにもなりましたねぇ。
「わかったワ、ジェラシーね」
ってセリフが当時、小生と妹の間で流行りました。

ジェラシーの何たるかも解ってなかった頃のお話…。

僕は小松左京派だったなあ

「果てしなき流れの果てに」
「継ぐのは誰か」
「復活の日」

名作揃いなのに、最近書店で見かけないなあ…

>watanabe 様

「果しなき流れの果に」 →『小松左京全集完全版』②
「継ぐのは誰か?」   →     〃     ④
「復活の日」      →     〃     ②

に入っています。城西国際大学出版会 刊行。
高校生が入手するなら、ほんとは文庫がいいんですけどね…

小松左京、ワシも大好き!
先日の土砂降りに運転してたら「日本沈没」連想しちゃった。
若い頃読んでじわ~っと良かったのは、
湯川秀樹「この地球に生まれあわせて」です。

>ナガイ様

今回は湯川秀樹の自伝をリストに入れました。
角川ソフィア文庫の「旅人~ある物理学者の回想」

「この地球に生れあわせて」は絶版だったかと…。

研究書以外の彼の文、詩的でびっくりした記憶があります。

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