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図書館司書ケイトのであってしまったんだ備忘録

第32回 「南極」とわが町を繋ぐ樋口和生さんのこと

前回は思いっきり横道にそれましたが、第52次日本南極地域観測越冬隊
にまたも志願した、樋口和生(ひぐちかずお)さんの話をしましょう。

といっても実は小生が樋口さんを知るようになったのはつい最近のこと。
彼は第50次の観測にも加わって南極にいましたから、家には不在で。
小生、留守宅のご家族とさきに出会いました。で、ちゃっかり奥さんの方
の「樋口さん」に手料理を食べさせていただいたり、読書家である彼女や
お子さんたちと本談義をしていた次第―。
直接に樋口さんを知るきっかけは花見でした。それはまだうすら寒い初春
のある日のこと―。またしても仙人(第31回参照)の紹介でした。
ほんのぽっちりほころびかけた桜の花に憩い、友達の友達は友達なんだな
という面子で一緒に焚き火を囲んだのです。
そう、愛すべきは焚き火!
大方はただウットリと揺らぐ炎を眺めていた小生なのですが、熾火になる
までのゆるやかで豊かなこのひととき、ぽつぽつ差し挟まれる樋口さんと
仲間のお話が、かぐわしい焚き火の匂いとともに、なんだか小生の全身に
じんわり沁み込んでいったのです。
南極や、ネパールや、チベットや、アラスカや、カムチャッカや、パタゴ
ニアや、ニセコでの体験話―。(アラスカへはお子さんも行かれた由)
雪山や湖や植物やオーロラの話―。
新婚旅行はネパールだったという奥さんとの馴れ初めや、ご家族の話―。
(因みに樋口さんのお父さんは海洋学者、お母さんは図書館司書)
植村直己さんの「青春を山に賭けて」や、星野道夫さんの「旅をする木」
や、藤原章生さんの「絵はがきにされた少年」の話―。(この3冊のノン
フィクションには、樋口和生の核を知るヒントがたくさんあります...)
中でも小生が興味深かったのは、フィールド・アシスタントという立場で
越冬された南極でのお話でした。樋口さんが提唱されるまで、昭和基地に
ゴアテックス装備がなかったとは!(この導入秘話だけでもわくわく...)

さて、焚き火の翌日―。
この話を小生一人がおもしろがっているのは、はなはだもったいないこと
だという気持がむくむくとわいてきました。そうなるともういてもたって
も居られないのが小生なのです。すぐさま仙人に電話をして、樋口さんに
繋いでもらい、さて、この縁を誰にどう繋げるべきかを考えました。
それで実現したのが、前回ご案内したカフェ・ハチャムでの講演会だった
というわけです。
6/19(土)のカフェ・ハチャム、44名(!?)入ったと聞いていま
す。老いも若きもですよ。スライドで、南極の写真をふんだんに織り込み
ながらの実に楽しいひとときでした。
山岳ガイドを生業とし、日本雪氷学会の会員でもあり、山岳レスキューで
もある樋口さんが、氷上のルート確保や隊員の安全管理を守るために赴い
た「南極」という極地での暮らしぶり―。
さまざまな分野のために、さまざまなところからあつまってきた専門員の
方々の仕事ぶり―。(彼らに深い敬意を持ちながら、しかし、何でもない
ことのようにたんたんと語る樋口さんの口調にまた打たれます...)
そう、南極観測隊員は研究所や学術団体所属の職員だけではないのです。
民間企業からの参加がたくさんあることを、小生は樋口さんに教わりまし
た。ヤンマー、日立、いすゞ、NEC、KDDI、飛島建設、鹿島道路、
ミサワホームなどなど―。こうして小生うろ憶えの名を挙げただけでも、
南極観測の積み重ねが「いま」に繋がる意義あることなんだと思えます。

ハチャムの打ち上げと称して、あんじ(店主はやはりネパール滞在経験の
ある林さん)で飲んだとき、「ひとりじゃなにもできない」と樋口さんは
繰り返し云いました。彼も携わっているNPO法人ねおすの事業定款には
こうあります。

人と自然、そして人と人との豊かな出会いをつくり、持続可能な地球社会
の推進に寄与することを目的とする。(抜粋)

思えば小生のまわりには「持続可能な地球社会」のいまと行く末を考え、
行動に移している面々がさまざまいるのでした。南極観測も、図書館も、
アートも、食堂も―だから、みんな根っこは同じ。繋がっているのです。
そして、繋げていこうという地道な志に小生は何度でも打たれるのです。

7月には訓練のために、もう道内を離れてしまう樋口さん。彼の講演会を
聴くチャンスがあと一日だけあります。6/28(月)、りんゆうホール
にて「山岳ガイドの見た南極」13:30と18:30の2回講演。
入場無料ですが、予約が必要です。
わが町も、実は南極に繋がる地球社会の舞台であることを―あなたも発見
しにいきませんか?

※ りんゆう観光HPより http://www.rinyu.co.jp/tour/event.html
※ 国立極地研究所の南極観測隊員公募についての要項など
http://www.nipr.ac.jp/info/h22-52-youkou2/index.html
※ 文科省 第52次南極地域観測隊の編成など
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/22/06/1294805.htm


(2010年06月24日)

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