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図書館司書ケイトのであってしまったんだ備忘録

第20回 チームドカジャン

佐藤泰志(さとうやすし)原作の映画『海炭市叙景』(かいたんしじょけ
い)の撮影も、はやいもので残り3週間となりました。
加瀬亮さん、小林薫さん、南果歩さんの撮影シーンは、既に撮り終わった
ようです。あと一人、谷村美月さんは函館入りしたでしょうか―。

昨夜遅くにまわってきた製作実行委員会のメールの件名が、「チームドカ
ジャン」でした。ドカジャンとは、真冬の厳しい現場で働く人たちのため
に開発された防寒着のこと。いわゆるドカタの人たちが着ているからドカ
ジャンです。実行委の何名かが自宅に持ち帰り、日夜「着古し感」をつけ
てきたドカジャンが、いよいよ撮影に使われると、メールの記事は告げて
いました。

この「着古し感」をつけるための地味だけれども大事な作業は、実は小生
にも覚えがあります。高校時代の演劇部では「ヨゴシをかける」と云って
いました。日常生活で実際に使用されているものには、多かれ少なかれ傷
や汚れがあるものです。衣服も着る者の体型に合わせてしだいにカタチが
くずれてくるもの。そんなわけで当時、自分の衣装は持ち帰って着たまま
寝たりしていました。しわや汚れは生活の証しなのです。そうやって衣装
を体になじませると、自然と役柄にも気持ちがこもるようになったことを
小生、久しぶりに思い出していました。

それで元演劇部の血が騒ぎ出したのでしょうか? 撮影も終盤にはいった
いま頃になって、小生は函館に行きたくてしかたがありません。
寺尾実行委員のブログ、『映画「海炭市叙景」上映までの足跡』でも紹介
されていましたが、いよいよ竹原ピストルさんが撮影中ということも大き
な魅力です。

竹原ピストルさんは、熊切和嘉監督映画ではおなじみの俳優さんですが、
実は歌手です。大学にはボクシングで入ったという異色のシンガーソング
ライター。もう解散してしまいましたが、以前は、野狐禅(やこぜん)と
いうバンドで活動されていました。
ソロになった彼の『オールドルーキー』という一曲を聴いて、その歌詞に
ノックアウトされた小生です。
歌っている竹原ピストルを見たくてネットでライヴの映像を探しました。
そしてみつけた映像をみた小生、

「つみあげてきたもので勝負しても、勝てねぇよ」と搾り出すような声で
歌う竹原ピストルこそは、日本一ドカジャンが似合うヴォーカリストだと
勝手に確信してしまいました。
そんな竹原さんの演じる役が、連作短編が織りなす『海炭市叙景』という
物語の中で、小生が最もいとおしく思っている役かもしれないのです。
この機に年休を取らずして、いつ取れというのでしょう?

何ごともうまくいかない時、小生は全部投げ出して一からやりなおしたい
と思ったりします。ダメダメな自分を無かったことにし、そこを乗り越え
たところから、新たに出会いなおしたいものだと―。
しかし、実際はそんな都合よくいきません。「ダメな自分」が、もう一度
立ち上がるしかないのです。佐藤泰志の主人公たちがちょうどそんなふう
にあがくように。

今回、ドカジャンを持ち帰ったメンバーはいったいどんなことを思ったで
しょうか? 自分が袖を通したジャンバーが、海炭市という街の映像の中
に残るのです。低予算の市民参加型映画『海炭市叙景』には、こんなエピ
ソードがさまざまあります。どんな場面にも、きっと誰かの痕跡が伺える
ことでしょう。それは何も目に見えるものばかりとは限りません。映画の
中に動く人、置かれた物を辿れば、かならず誰か身近な一人に繋がるはず
です。
前回、ここで紹介したロケ弁当がいい例でしょうか。この映画を支援する
誰かの畑で丹精された野菜は、誰かの運転する車で運ばれ、食事班の誰か
が調理するロケ弁当になりました。そのお弁当を美味しい美味しいと絶賛
した南果歩さん。彼女の撮影場所まで車を運転した人も、車の手配をした
人も、みんなチームです。そう、チームドカジャンです。
(けっしてチーム「パイロットジャンパ」ーではありません...)


※ 映画「海炭市叙景」上映までの足跡 http://kaitanshi.dreamlog.jp/

※ 竹原ピストルさんのブログ  http://blog.goo.ne.jp/pistol_1976


(2010年03月04日)

コメント(2)

冬野恵人さん、こんにちは。
なかなかうまい言葉が見つからず、
いつもコメントしそびれているのですが、
恵人さんのコラム、毎回、
楽しみに拝見しております。

で、ここに来て、竹原ピストルさん!の話題で、
とうとうコメントを・・・。
私も、野狐禅、好きでした。
と言っても、CDを買ったりライヴに行ったりしたことが
あるわけではなく、ネットで音源を聴くぐらいの
地味なファンだったのですが。
当時、彼らのうたには、ハッとさせられたり、
幾度となく涙したり・・・・。
ずいぶん、はなうたでもうたっていました。
そのころ、よくシンクロしあっていた友人も、
彼らのうたに心酔していて、
自身のブログで、よく歌詞などを
取り上げていましたよ。
そんなわけで、解散についても、
私はこの度知った次第ですが、^^;;;
こんなふうに目には見えない地味なファンがいたことを
彼らに勇気をもらって生きていたことを、
そして、あらためてこの度、映画という形で
再会できることをとても楽しみにしていることを
恵人さんから、竹原さんに、チームドカジャンの皆様に
お伝えいただけると幸いです。
撮影が無事、進みますよう、お祈りしています。

>さらふぁいさん

あたたかいコメントをありがとうございます。
昨夜の最終深夜バスで『海炭市』より帰還しました。
お気持ち、お伝えしたつもりです。
竹原ピストルさん、詳細はまだのようですが、札幌、江別のほか、道内各地でのツアーが決定しているそうですよ。

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