あけましておめでとうございます。
小生はこの新しい年を、杜のなかの友人宅で迎えました。
「トトロの家」などと噂される一軒家です。
友人は遊びに来るエゾリスのためにヒマワリの種を買い、ヒヨドリのため
のリンゴをベランダに用意しているような男です。
ひと呼んで仙人―。
そこに、南極観測のためご主人が不在の隣人一家、オペラのピアニスト、
落下傘部隊にいたこともある元自衛官、劇団主催者...などなどさまざまな
メンバーが集いました。
そんな大晦日―。
少し早めに着いた小生、友人の部屋でコーヒーを飲みました。
友人ご自慢のゆり椅子に背をあずけ、柱時計がときを刻むコチコチという
音を聴きました。なつかしい、心地よい音です。子どもの頃の我が家にも
祖父母の家にも、同じような柱時計がありました。一定周期でねじを巻か
ないと止まってしまう、当時はやっかいにも感じた手のかかる時計です。
ふりかえると―
昨年の後半は、実にめまぐるしい日々でした。
自宅にパソコンを持たなかった小生でしたが、仕事に必要な情報を集める
ことに限界を感じ、人並みに「電脳生活」を始めたのです。
ネットで情報を得ることの手軽さには目をみはるものがありました。
ちょうど話題になり始めていた【ツイッター】によるアンケートに参加し
たり、文学賞の予想にも一票を投じたりしました。
【ツイッター】では分刻みで新しい情報を得ることができ、集めた多様な
情報は瞬時に同業者と共有することも可能です。
ただ一方では、情報をこの身に留め置くという感覚を持てないまま、放出
し続けているなという所在なさも募りました。目の前を【文字】が次々と
エンドレスに流れていくのです。書いて、身体に覚えさせる時間などない
環境下で、すぐに判断を下さなければならないことに疲れも覚えました。
唐突ですが―
小生は運転免許も持っていません。通勤など歩いて行けない距離の移動に
は公共の交通機関を使いますが、一番好きな移動手段は、実は歩くこと。
かつてはロードレーサーに乗り、旭川あたりまでなら平気ででかけた小生
ですが、パンクしたチューブラータイヤ(ロードレーサー用の細いタイヤ
です)をうまく縫い合わすことができなくて億劫になり、乗り換えたマウ
ンテンバイクは、いつしか甥に譲ってしまいました。
以来、移動の基本は徒歩。方向音痴ですが、一度歩いた街ではなぜか迷い
ません。また、目的地まで、自分の足で自分を運ぶと達成感があります。
なぜかご高齢の方に道を聞かれることがよくある小生なのですが、ともに
歩く速度でまわりを観ると、色んなことがくっきりと印象に残ります。
また歩きながら考えると、だんだん焦点が定まるようにも感じる不思議。
思うに小生は、ひとつひとつ確認しながら物事をすすめたいタイプなので
した。融通がきかないといえばそれまでなのですが、ショートカットキー
で得た情報は、身につかない気がしてなりません。経過のいちいちを確認
した後でないと納得いく答えが出せない気がするのです。
しかし、ネットに流れる情報のすべてを掌握することなど不可能です。
どの情報を有効とし、どの情報をやり過ごすのか―。
要領よく効率よく情報を捌くことができなければ、これからの図書館では
取り残されること必定なのですが―。
さて、「トトロの家」に、話は戻ります。食べ疲れ、飲み疲れていつしか
新年になり、近くの神社へ皆で詣でて、空を仰ぐと満月でした。
小雪のふりかかる境内で足踏みしながら、小生はしみじみ思いました。
「しずかだなぁ」と...。
だいたい、テレビの音すらしない部屋で新年を迎えたのです。
部屋の中の物音といえば、ただ十人の話し声と、時おり鳴く猫の声のみ。
耳の奥に響いているのは柱時計の音です。コンピュータの稼動音がしない
ということが、こんなにも肩の力を抜いてくれるものだったとは―。
小生、柱時計のコチコチいう音を胸に刻みながら、これから迎える新しい
一年について考えました。
図書館では今後ますます、多様な情報が、迅速に求められるでしょう。
こう書くと、いかにも常套句ですね...。でも、本当のことです。
そんな要求に応えられる脚力をつける一方で、歩く速度で考える高齢者や
子どもの視線にもまた、個別に寄り添える司書でありたい―というのも。
コチコチとは、歯車のひとつひとつが噛み合う音です。
手をかけ、ねじを巻いてはじめて聴こえてくる音です。
例えるなら小生はこの一年を、そんなふうに仕事したいと願っています。
ぜひ、あなたの街の図書館をご利用ください。
本年も、どうぞよろしくお願いします。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第14回 杜のなかで、柱時計の音を聴く
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私もペーパードライバーなのでお仲間です。
歩きor公共交通機関or自転車でどこにでも行きます。
歩くの大好きです。
歩きや自転車でしか見えない景色やものってありますよね。
いつも歩きで行くところに車で行くと、行った気がしません(笑)
新しい一年が、恵人さんにとってよい一年になりますように。
katahiraさん
あなたは「歩く」志で中国にも韓国にも行かれたのですよね。
感服します。
katahiraさんにとっても、よき一年でありますように―。