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北京レポート⑥ 休日の出来事

ある休日の出来事。
朝食事をしながらTVをつけると、例の粉ミルク事件とスペースシャトル打ち上げの報道が繰り返し流れていた。粉ミルク事件では、被害にあった子供は数万人にのぼるそうで、中国ではこういった食品関係の事件はよくあるのだけど(報道されないものもある)、被害があまりにも大規模だったので、政府も動かざるを得なかったようだ。国民の食の安全への関心も以前に比べると高まっている。

スペースシャトル打ち上げは、オリンピックと並び国家の大イベント。中国の経済力と技術力を国内外に示す絶好の機会だ。もはや中国は以前の中国ではない、とアピールしているような印象を受けた。打ち上げを祝う幹部のコメントや、中国各地で人々が打ち上げを祝っている様子が何度も流される。インタビューを受けた人は、中国はアメリカに並んだ、と誇らしげに言っていた。

チャンネルを変えると、第二次世界大戦を舞台にしたドラマが。中国人演ずる日本兵は悪役そのもの。残忍で狡猾。中国人の日本兵に対するイメージがよくわかる。でも日本語をもうちょっとなんとかしてほしい・・・。
「ヨーシ、ソカ、オマエ、チュゴクジンキチニイテキタカ」
「ハイッ!ソデス」
(「よーし」は、中国人によく知られている日本語。昔の日本映画の影響か。)
中国のドラマに出てくる日本の兵隊は、なぜか丸めがねとちょびひげがトレードマーク。中国人の友達が、鼻の下にペンで落書きして「見て見て!日本人みたいでしょ」というのは、どうやらドラマの影響らしい。

お昼から、バスに乗って近くのスーパーへ。バスの中で立っていた若いカップルが口喧嘩を始めた。彼氏が何か一言言った瞬間、彼女の顔色が変わる。ギロリと彼氏をにらみつけると、大声でなにか叫び始めた。標準語ではないので、何を話しているか全くわからない。乗客は遠慮なく二人に好奇の視線を送る。そのうちバシッと大きな音が響く。彼女がわめきながら、彼氏の顔を平手打ちしていた。降りてからも言い争いをしている二人を残して、バスは遠ざかる。道ばたで喧嘩している人を見かけることはよくあるので、それほど驚かない。

スーパーで買い物を済ませ、人と会う約束があったので、タクシーに乗り込む。タクシーの運転手さんは話し好きで、日本人だと言うと、
「あんた何歳?結婚してんの?日本では給料いくら?お父さんは何の仕事してんの?」
などと聞いてくる。初対面で年齢や給料を聞くのは普通のことだ。
「日本はクリーンな国だって聞いてるよ。中国は汚職まみれでさ~」
などとも言う。
「日本も汚職ありますよ、数は少ないかもしれないですけど・・・。」
というと
「あはは、そう?どこも同じだね~。俺たち一般市民には関係ないけどね~」
と、陽気なおじさんであった。

信号待ちをしていると二人の男性が、止まっている車の間を縫って歩いているのが見えた。一人は地図を片手に持っている。北京の地図を売っているのだ。もう一人は、大きなかごを背負っていて、なにやら片手に動く緑の丸いものを持っている。亀だ!その男性は、私の乗っているタクシーの運転席の窓をコンコンとたたいて、窓を開けさせると、
「亀いらない?安くするよ。お嬢さんも、どう、この亀かわいいでしょ?噛まないよ。」
と言った。車道での物売りはたくさんいるが、亀を売る人がいるとは・・・。いらないと言うと、男性は後ろの車へ移動した。タクシーの運転手さんも
「亀を売るってのは初めてだな~」
と笑った。

中国ではちょっと外に出るだけでも、おもしろいものを見ることができる。休日は出かけるに限る。中国の人にとっては、ありふれた日常の風景だろうけど。



(2008年11月06日)

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