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第94回 中国だけど韓国④ルームメイトは韓国人

留学生寮の部屋は、留学生を管理する「外事処」に申し出でて「包房(バオファン/一人部屋)」にしない限り基本的には二人部屋で、日本人留学生は、韓国人と同部屋の場合も多かった。韓国人は主に本科卒業までの5~6年いる長期滞在の学生ばかりだったので、家具や電化製品も多く、すっかり一人部屋のようになっているところに入れてもらうことになる。部屋にはオーディオやビデオデッキ、ゲーム機やストーブなどがずらりと揃えられていた。(韓国人留学生が、一斉に電化製品をフルに使うと毎回その階のブレーカーが落ちるので本当に困った。)

暮らし初めて最初にびっくりするのは、こちらのものを自分のもののように勝手に使うことだ。はさみやドライヤーなどは断りなしに使い、服なども着て行ってしまうことがある。使用後、ちゃんと戻してくれることは少ない。買ってきた果物も全部食べられてしまったり。

これは「第45回 オマエのものはオレのもの!?」でも述べたことだが、親しい人のものは自分のもののように気兼ねなく使うという習慣だからなのだった。

韓国人のルームメイトが食べ物を買ってきたときは、絶対に一人では食べない。必ず相手にも勧める。勧められたら、遠慮する必要はない。日本人は、買ってきたものを相手に声を掛けずに一人で食べていたりするのだけど、韓国人はそれを見て「この人は、なんてけちなんだろう」と思うのだそうだ。日本人同士なら、たとえ「食べる?」と勧められても、「これはこの人の買ってきたものだから」と、一つ二つもらって後は手をつけないだろうが、韓国人は遠慮しないでがつがつ食べるので日本人は「ずうずうしいな」と思うかもしれない。私たちは、最初にこのような壁にぶつかってお互いに習慣の違いを知るのだった。

部屋で共同で使うもの、トイレットペーパや石鹸等を買ってきて割り勘にしようと韓国人に言ったら、断られた人もいる。「今回はあなたが買ってきたけど、次回は私がかってくればいいんじゃない?」と言われたそうだ。韓国には(中国にも)割り勘の習慣がないのだ。一緒に食事をした場合も、誰か一人が払う。払ってもらったら、次回ごちそうする。そういう持ち回り制になっているのだ。10円単位まで(細かいときは1円単位まで)きちんと割ろうとする日本人を「めんどくさいな~細かすぎるわ。」という目で見る。これも私たちには衝撃だった。

よく日本人が困っていたことは、ルームメイトの友達が部屋に来て、夜遅くまで(夜中になることも)いることだった。テスト前でも、相手が眠そうでも、具合が悪そうでも、あまり気にする様子がない。「迷惑そうにしても気づいてくれないんだけど、どうすればいい?」私の中国滞在が二年目に入ったときに、新しく来た日本人留学生に相談されたこともある。「そういうときは、『今日は眠いから』とか『風邪引いているから』言って、帰ってほしいということをしっかりアピールしないとだめだわ」と、アドバイスした。

「眠いなら眠い、疲れているなら疲れていると言えばいいのに。韓国人同士なら、そういわれることは全然嫌じゃないよ。友達なのに何を遠慮しているの」これが韓国人の意見だからだ。はっきり言われなくても、空気を読む、相手の態度から気持ちを読み取るというのは、日本でしか通用しない「美学」なのだと私たち日本人留学生は初めて知るのだった。

韓国は儒教文化なので、ルームメイトが自分より年上だったら何となく気を遣わないといけない雰囲気だった。こちらが年下なので、何かあったとき面倒は見てくれるのだけど。相手が自分より年下のときは、「お姉さん」「お兄さん」などと呼んでくれて、気を遣ってくれる。だけど、食事の支払いはこちら。韓国では食事したときは年上が支払うのだ。中国にいるのだから、そこまで韓国人に気を遣うこともないと、私たちも思うこともあった。だけど、ここでは圧倒的に多いのは韓国人留学生。外の世界と隔離された寮の中は完全に韓国化していて、自然に韓国文化が生活の中に入ってきたのだった。



(2009年04月30日)

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