宴会では、日本人がいてもいなくても、会話はほぼ韓国語になる。日本人なら自分たちの宴会に韓国人が来たら、気を遣って共通語の中国語を使おうとするだろうが、彼らはあまり気にしていないようだった。最初は困ったけど、その代わり、私たちはお酒に関する韓国語を自然に覚えることができた。彼らは、お酒を飲みながら語るというまったりした飲み方ではなく、毎回早速ゲームを始めるのだった。
「タイタニック」と言う名前のゲームは、ビールがなみなみ入ったジョッキの中に、焼酎のお猪口を浮かべて、その場にいる人が順番にその中に焼酎を入れていき、お猪口を沈めた人がそれを「ワンショッOne Shot」(一気)飲みする。つまり「爆弾酒」を飲まされるのだが、お酒は混ぜると回るのが早い。お酒が弱い私は、一杯でダウン。もう飲めないのでやめるといったら、みな本気で怒り出す。誰かに代わりに飲んで貰ってもいいよ、と言ってくれるのだが、飲んでもらったらその人の要求を聞かないといけないというとんでもないルールだったので頑張るしかなかった。ほかにもいろいろなゲームがあり、円になって座り親を決めて、みんなで一斉に0,1,2のどれかを指で出し、親から時計回りに数えてその合計した数の人が一気飲みするとか。どのゲームも早く酔っぱらいたいだけなんじゃないの・・・と思うものばかり。
女性も男性も私の周りの韓国人は、みんなお酒が強かった。毎回とんでもない数の瓶が空になって転がっていた。オッパたちがよく、「軍隊ではこんな量じゃないぞ、もっともっと大量に飲んでいた」と、誇らしげに言っていたのを思い出す。お酒が元で、韓国人留学生同士がけんかになることもたびたびあった。日本人が同席しているときにはほとんどなかったけど、叫ぶようなののしり声と、物がたたきつけられるような音がするときは、私たちは部屋に鍵をかけて外にはでなかった。朝、学校に行こうとしたら、消化器がへしゃげて階段の下に落ちていたり、三つ隣の部屋のドアにヒビが入っていたりした。外で飲んでいて大げんかになり、救急車で運ばれたオッパがいたことも忘れられない。
後に韓国に渡ってから知ったのだが、韓国では日本とは違う独特の酒文化があり、お酒は仕事やプライベートで、人間関係を構築するのに重要なツールだという考えが日本より強く、特に男性はお酒が飲めないというのはデメリットだとらえられている。酔っぱらってぐでんぐでんになることが恥ずかしいことだとは考えていないようで、ヨッパライの世話をさせられる側も、それを迷惑だとはあまり思っておらず、あまり怒ったりはしない。「仲がよければ、酔っぱらって多少乱れても大丈夫、それが心を許しているということ」という考えなのだそうで。どこまでが多少、なのかはちょっと考えてしまうけど・・・。
ついていけないと思ったこともあったが、もちろん楽しく飲めた宴会も何度もあったし、やっぱり彼らとお酒で仲良くなったということは否定できない。だけど、今日は飲めない・・・と思うときは、オパたちが飲み会に誘いに来ても、私は居留守を使うようになった。いるとわかると断っても連れて行かれるので・・・。
彼らはやって来ると、トントンとノックして日本語で「カコ、アリマスカ?」と尋ねる。
勿論、「カコ、イマスカ?」が正しい。日本語は、人のときは「いる」物のときは「ある」。韓国語では人も物も区別無く「イッソ」というので、間違って覚えているのだろう。それが聞こえると、私は電気を消して布団をかぶり、心の中で「アリマセンよ」と言うのだった。
※目上の人と飲むときは、韓国もマナーがいろいろとあり、こんな飲み方ではないのですが。宴会や食事のマナーについてはこの回に書いています。

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第93回 中国なのに韓国③お酒で仲良しに?
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某アイドルグループの某氏も、現場が韓国だったらここまでのニュースにはならなかったのでしょうね。
>mutou様
コメントありがとうございます。
韓国では、ヨッパライに対して日本よりかなり寛大なところがあるので、多少は結果が違ったかもしれないですね。
ですが、留学中は、ちょっとついていけないと思ったことも正直ありました・・・。
特に男性だけの飲み会は大変なことになっていたようです。