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第90回 間違ってもいいんじゃない?

中国人の友達が携帯電話で話している。
「ちょっと遅れます。9時に行きますですので。今、友達を会っています。」
切るのを待って、すかさず言う。
「『ます』のあとに『です』は来ないよ。『九時に行きますので』って言ったほうがいいよ。『会う』のとき、助詞は『を』じゃないよ。この場合は『友達に会っています』か、『友達と会っています』が正しいんだよ。」
「そっか。いつも直してくれて、私は嬉しいだよ。」
「『嬉しい』は形容詞だから『嬉しいよ』でいいよ。形容動詞のときは『きれいだよ』とか『静かだよ』って、『だよ』でいいんだけどね。」
「ふーん。『きれい』は、形容動詞か。形容詞かと思ってたよ。教えてくれてありがたいだよ。」
「『ありがたい』は・・・」

この会話を聞いた方は、ちょっとしつこいと思われるかもしれないが、私は親しい留学生と会話しているとき、日本語の会話で何度も同じところを間違う場合は、直すことにしている。(真剣に話し込んでいるときや、話の腰を折りそうなときは除くが)彼女たちが、それを望んでいるからだ。

あるとき、留学生の一人がこう言った。
「私の日本語どう思う?」
「上手だよ」
「嘘!間違っているところたくさんあるでしょう」
「そりゃ、たまにはあるけど、外国人なんだから完璧じゃない部分もあって当然なんじゃない?」
「そうじゃなくて、日本人の友達は誰も、間違っていても直してくれないんだよ。間違っているよとか言ったら、私が傷つくと思ってるんでしょう。だから、私の日本語、どこがヘンなのかわからない。」
そういわれてハッとした。ああ、こんなところにも考え方の違いがあるんだ。言われて見れば、私も彼女がいつも同じところで間違っているな、とは思いながらも訂正したことは一度もなかった。日本人には、相手のミスを口に出して訂正することを、相手に対して悪いと思ってしまう独特の思いやりというのか、遠慮がある。

中国人数人と暮らしていたときを思い出した。私の中国語は、彼女たちに鍛えられたと言ってもいい。私がちょっと言い間違うと、彼女たちはすぐに「違~う!」と直してきた。最初はいちいち直されるので、めちゃくちゃ凹んだときもあった。でも、結果的には中国語力を伸ばすのにすごく役立った。彼女たちは私の専属の先生だった。「間違いは、直してあげたほうが後々その人のためになる。」そういう考え方なのだ。

この違いに気づいてから、仲のいい友達に対しては、積極的に日本語会話の間違いを直したり、気づいたことは言うようにしている。自分も中国語や韓国語を学んでよくわかっているが、早めに直さないと定着してしまい、直りづらくなる。

語学の「間違い」について、もう一つ気づいたのは、日本人は外国語の授業で、間違いを恐れて発言しないことが多いということだ。中国人は間違っていても堂々と話す。間違っていると言われることを恐れていないからだと思う。考えてみれば外国人なのだから、間違うのは当然なわけで、授業は練習の場なのだし、間違いを訂正してもらうことによって語学は上達していくのではないかと思う。間違うことは恥ずかしいことではないのだと、中国人のクラスメイトに教えてもらった気がする。

福建省フルーツ


(2009年04月02日)

コメント(2)

前に英会話を習っていたとき、中国でも教えたことがある先生が、
「日本人に比べて、中国人は一生懸命で教え甲斐があった」
と言っていたことがあります。
たしかに、本当に学びたい!覚えたい!という気持ちがあったら
間違えて恥ずかしい…なんて気持ちは、わかないのかもしれませんね。

そういう私も、間違えることに怯えてしまうタイプですが(笑)
日本人のこういうところは、損ですね…

>さぶりなさん
韓国語の先生は
「日本人が一番まじめで、よく勉強するし、テストをやってもカンニングなどの不正行為はしない。だけど、授業中質問が少ないし、積極的に発言しない。間違うのを恐れているようだ。」
と言いました。そのクラスの日本人にを的確に表現しているな~と思いました。
「間違うのは当たり前!それに、分かっているのに発言しないのは、だめですよ!」
と何回も言われたのですが、なかなか・・・。
こういうところにも習慣が関係しているのですね。

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