なるほど情報ウェブマガジン【週刊コラナビ北海道】毎週木曜日更新

週刊コラナビトップ近いのに、遠い国

近いのに、遠い国

第88回 北京レポート⑳ 午後の散策

ある日の午後、天気が良かったので近くの公園をぶらぶら歩いてみると、ベンチのところにお年寄りが集まっていた。近づいてみると、トランプでポーカーをしている。遊んでいたのは4人だが、周りに立って眺めたり応援したりしている人が何人もいてとても賑やかだった。みな自宅から小さな折り畳みの椅子と、水筒を持ってきていて、この公園で長い時間を過ごすのだと分かった。また少し行くと、同じような集団が。ゲームは白熱している様子だった。中国人はポーカーでよくお金を賭けるので、もしかしたら賭けているのかもしれなかった。その中の小柄なおじいさんに、毎日来るのかと聞いたら、
「天気のいい日は、ほぼ毎日来るよ。メンバーはいつも同じさ。夕方までいるよ」
とおっしゃる。うちの祖母も通っている日本の「老人クラブ」のようなものに思えた。

公園を後にして、大通りの方へ歩いていくと、曲がり角のところで車が渋滞しているのが見えた。車の列の向こう側に、黄色い帽子がちらほら見える。あ!下校時刻だ。この近くの小学校の授業が終わり、生徒が一斉に門から出てきたのだ。甲高く賑やかな声が聞こえる。生徒たちは、みな赤いスカーフを巻いて、黄色い帽子を被っている。中国では両親や祖父母が学校まで迎えに来るのが普通なので、迎えに来た人たちと生徒で学校の回りに人垣が幾重にもできていて、(中国の学校の規模は大きく、生徒数も多い。)それが車道にもはみ出し、渋滞を引き起こしているのだった。

中国では共働きの家が多いので、おじいちゃん、おばあちゃんが子供の世話をしている場合が多い。結婚しても子供をいつまでも作らないと、
「面倒を見てあげるから、早く子供を生みなさい。私たちが若いうちじゃないと育てられないわ」
などと両親から言われることもある。迎えに来ている人の中にもお年寄りが多く見られた。さっき公園でポーカーを見ていたおばあさんが、私の近くに立っているのに気づく。彼女もお孫さんを迎えに来たのだろう。

迎えの人の中に、公的機関と思われる制服を着ている人がちらほら・・・、友人の話では中国では「ちょっとお迎えに・・・」と、抜けることができる職場も多いそうだ。登下校に付き添う中国の親が過保護に見えるかもしれないが、中国は車の運転が荒く、信号が無い通りが多いので、子供だけで道を渡るのは危ないし、治安も決していいとは言えない。子供がいる親としては、自分で送り迎えするのが一番安心だろう。

人垣は左右に徐々に流れていって、少しずつ車の渋滞も緩和されていく。子供たちの元気な声が遠ざかり、街の雑音の中に消えていった。北京のある日の午後の散策。私にはもう、留学時代から見慣れた風景だった。



(2009年03月19日)

コメントする


画像の中に見える文字を入力してください。

(画像が表示されない場合、画像のところでマウス右クリック-[画像の表示]を実行してみてください[Windows InternetExplorer, FireFoxの場合])

トラックバック(0)

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第88回 北京レポート⑳ 午後の散策

このブログ記事に対するトラックバックURL: http://spiritlink.80code.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/1648