今回北京の街を歩いてみて、気づいたことの一つにイタリアンやハンバーガー、バイキングなど洋食のお店や、おしゃれなカフェが以前に比べてずいぶん増えたということがある。中国人の食生活も、西洋化してきたということだ。特に都会の若者の食生活は。
ハルビンに留学中は美味しい洋食を食べたいと思っても、食べる場所がなかった。ピザや、ハンバーグなどが食べられるレストランは市内に数軒で、そこの常連は主に外国人。味は、日本で食べていたものと比べるとかなり落ちる。ある店で外国人用の英語メニューにスパゲティと書いてあったので注文したら、きしめんのようなものが出てきたこともある。
私はコーヒーを飲まないので分からないが、コーヒー党の留学生の話だと、喫茶店(と呼べるような店も数えるくらいしかなかったけれど)コーヒーは、味が違いすぎてコーヒーと呼べるものではなかったらしい。挽いた豆はその辺では買えないので、コーヒーをよく飲む人は日本から送ってもらっていたようだ。
留学中は主に自炊していたが、たまに洋食を作りたくても材料を調達するのが大変だった。スパゲティはハルビンでは売っていなかったし、チーズやバターなどの乳製品もなかなか目にすることはなかった。さすがに北京や上海など大きな都市に出て、外資系の大きな百貨店などに行くといくつか売っていたが、高くて買う気にはなれなかった。
以前中国の友人にチーズを食べさせたことがあるが、一口かじると、「変な臭いと味がする」と言って返してきた。牛乳が原材料だと言うと、驚いたような表情をしたので、
「日本人は牛乳を料理によく使うよ。スープにしたり、ソースにしたり」
と言ったら、彼は
「うぇぇ・・・それ、美味いの?」
と、顔をしかめて言った。当時、中国人は洋食どころか、牛乳自体をあまり飲まなかった。中国は広いし、酪農している農家も少なかったので、新鮮な牛乳は流通しにくかった。ビニールの袋にパッキングされて売られている牛乳の賞味期限は数ヶ月。一体何が入っているんだろう?と飲むのを躊躇してしまう。
韓国にいるとき、中国人留学生とイタリアンレストランで食事したことがある。洋食に慣れていない彼女の変わりに、私が注文したのだが、上述の出来事を思い出し、わざわざ牛乳を使ったクリームソースを避けた。トマトソースなら大丈夫だろうと思ったのだが・・・。
「この真っ赤なソースは何?辛いの?麺にしてはスープが少ないようだけど」
彼女はそのとき、スパゲティというものを初めて見たのだそうで、半分以上残し、次にまた誘ったら、
「あの店はやめよう。私が一番嫌いなのはイタリアの麺(スパゲティ)よ。」
と。その時は、まだまだ中国人は洋食を食べる習慣はないのだと思ったのだけれど。その後数年で、経済成長に伴い中国人の食生活は大きく変化したようだ。
食生活の変化Ⅱに続く。

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