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第74回 北京レポート⑧ 北京から内モンゴルへⅢ

北京駅で汽車に乗り込む前に、駅構内で眼にした看板。
「『お金を払えば、早めにホームに行かせてやる』と言う人がいても、信じないで下さい。騙されます。」
これを見てふきだしてしまった。日本ではまず見ることができない。人が多い中国では改札で長い長い列に並ばなければならず、しかもすごい荷物だったら、それを持って人ごみの中を移動というのは大変だから、こう言って騙す人がいるんだろうなぁ・・・。

この看板を見て思い出した。留学中、ある日本人留学生の男の子が汽車で旅行に出ようとしたが、何かの事情で発車時間のギリギリに駅に到着してしまった。改札には長蛇の列。
「どうしよう、もう間に合わない・・・」と、おろおろしていると、
若い男性から
「今出る汽車に乗りたいのか?乗りたいなら、50元渡せ。そしたら、お前をその汽車に乗せてやる」
と言われた。その人を信じるかどうか迷ったが、彼は賭けに出た。50元を渡すと、男性は「付いて来い」と言って走り出した。逃げられるのでは!?と思って懸命に走って付いていくと、狭い従業員通路のようなところを通り、すぐにホームに出た。乗るべき汽車は目の前だった。男性は、彼のリュックをバシバシ叩き
「快跑!快跑!(走れ!走れ!)」
と叫んだ。彼は力いっぱい走って、なんとか汽車に乗ることができた。
「あの人のお陰で、あの汽車に乗ることができたんだよね。だけど、50元って高すぎだよな~」
と彼は今でも笑って話す。「お金を払えば早めにホームにいかせてくれる」というのもウソではないのかも・・・。

話を元に戻す。包頭行きの汽車に乗り込み、寝台に座っていると、すぐに乗務員の女性が切符の確認に来た。切符を渡したら、寝台の番号が記されたプラスチックの四角い札を渡される。これは目的の駅に到着する前に、また切符と交換してもらう。今回は、身分証のチェックもあった。外国人はパスポートでOK。

同行の友人と日本語で話していると、上の寝台からの視線が刺さるが、話しかけてはこない。上の寝台には私と同じくらいの男性と、若い女の子がいた。友人曰く、
「昔は、こんなに若い人が『柔臥』に乗れることってあまりなかったんだよ。今は経済成長の恩恵を若い世代も受けてるんだよね」
と言った。友人は
「ニーハオ。どこまで行くの?」
などと二人に話しかけていたが、二人は二言、三言話しただけで、口をつぐんでしまった。
「今の若者って、人とコミュニュケーションとるの苦手な人が多いんだよ。日本の若者と同じ。」
と、友人が、二人に分からないように日本語で言ったのが印象的だった。昔、汽車に乗ると、中国人は周りの席の知らない人とでも、よく話すように思ったんだけど・・・8年の間に中国も変わったのかな。

Ⅳに続く。



(2008年12月04日)

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