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第63回 男女平等の先進国

「中国は男女平等の先進国だ」中国に行く前からそう聞いていたし、実際に住んでみても、そのとおりだと感じることが多かった。専業主婦はまずいない。ほとんどの女性は既婚未婚を問わず、みな仕事を持っている。会社や国の組織の女性幹部が、日本より圧倒的に多く、目覚しい社会進出を遂げている印象を受ける。

中国の女性は、仕事でもプライベートでも、男性と対等にものを言う。不満があると、文句も要求もガンガン言うので、会話を聞いていると、男性がタジタジになっているのがわかる。日本では、今でこそそういう女性もいるかもしれないが、一昔前くらいまでは、女性が公の場で、男性に向かって、または男性をさしおいて堂々と自分の意見を主張すると、眉をひそめられることが多かった。女性には、一歩下がった「控えめ」な態度が要求された。

中国人が日本の会社を訪問したとき、女性がお茶汲みをしているのに驚くという話を聞いたことがある。中国の会社では女性にお茶汲みはさせない。(日本の会社でも自分のお茶は自分で入れるというところもあるが、未だに習慣的(伝統的?)にお茶汲みは女性と決まっている職場も少なくない。)中国では、男性と女性の仕事を基本的に分けないし、女性も「女だから」という甘えた考えを持っていない。結婚し、子供を生んだ後も一般的には数ヶ月で仕事に復帰。定年まで働き続ける人が多い。

そういう背景を知っているので、中国では能力さえあれば、女性が昇進するのは難しいことではないだろうと思っていたのだが・・・、
友人に、ある中国大手企業の女性幹部がいる。彼女は、並み居る男性幹部たちを抑えて、新規事業の総責任者に抜擢された。英語も話せて、話術も巧みで、非常に営業力のある優秀な彼女が、一緒にお酒を飲んだときにこんなことをこぼした。
「私は、男性の何倍も努力してきた。仕事に全てをささげてきたのよ。時には家族を犠牲にしなければならなかった。女性が昇進するには、男性と同じことをしていてはだめなのよ。運と根性と努力、この3つが必要ね。」
それを聞いて、どこの国でも、女性が認められるのは容易なことではないのだと悟った。特に、たくさんの優秀な男性ライバルがいる環境の中から、女性がリーダーに抜擢されるというのは並大抵のことじゃないのは、中国も同じだった。

数ヶ月前に、中国では女性の自殺率が男性の自殺率を上回っているという報道があった。「男女平等の先進国」とはいうものの、社会での葛藤や苦悩もその分多いのかもしれないと思った。



(2008年09月11日)

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