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第57回 私のルームメイトを紹介します

韓国では主に中国人と暮らしていたが、一時期、韓国人のルームメイトと住んでいたことがある。名前はヘギョンと言って、小学校の先生をしていた。専門は体育で、趣味は日本の剣道。あけてもくれても剣道。3段の腕前で、いつも竹刀を持っていた。(韓国にも日本の剣道は普及しています。剣道人口も少なくありません。)

彼女が冗談で、
「悪い人が来たらさ、これで守ってあげるから。」
とニヤリと笑って竹刀を振り回す姿は迫力満点。『悪い人』も腰を抜かして逃げ出すに違いない。彼女は色白で、整った顔立ちをしていたが、恋人が長らくいなかった。口癖は、
「私より強くないと、私の彼氏にはなれないのよ!」
だが、それはなかなかいないと思う、とは私の口からは言えなかった。

韓国では国民の約4割がクリスチャンだといわれているが、彼女も敬虔なクリスチャンで、毎週日曜の礼拝は欠かさない。武者のごとく竹刀を振り下ろす姿と、静かに祈りをささげる姿のギャップがまた魅力的だな~と思わせる。

韓国では高校から第二外国語の学習があるが、彼女は日本語を選択していて、私の日本語もある程度は理解できた。最初は私も頑張って韓国語で話していたのだが、だんだんめんどくさくなって、ヘギョンが聞き取れなくても日本語で話しつづけているうちに、いつの間にか彼女は私の話す日本語をほぼ聞き取れるようになり、私が日本語で話して彼女が韓国語で話すというはたからみたらなんとも不思議な会話で生活するのが普通になった。

あるとき、なんで高校で日本語を選択したのか尋ねてみたら、びっくりするような答えが返ってきた。
「日本人に戦争や独島(竹島)のことで文句を言うためだよ。高校の時、クラスメイトといつか日本人に会ったら言ってやろうって誓ったの。」
彼女は真面目でとても愛国心の強い子だったので・・・、直球が返って来た。
「日本は韓国より領土が広いのに、まだ独島(竹島)が欲しいって言うの?欲張りだよね。」
夜、布団に入ったらおしゃべりをするのだが、この話題になると、朝まで話すことも・・・。

「日本は2回も韓国を侵略してるよね。」
「2回?1回じゃないの?」
「豊臣秀吉を忘れたの?」
まさかそんな前のことで責められるとは思っていなかったので、
「そんな昔のこと!?」
と、思わず言ってしまった。

ヘギョンはその答えが気に入らないようで、
「それが今の日本人の代表的な意見ならがっかりだわ。時間がたてば忘れちゃうわけ?カコの祖先が、私の祖先を殺しているかもしれないんだよ」
と。そう言われて、改めて日本人と韓国人の意識の違いを思い知らされた。日本人なら、私と同じようにそんな昔のこと言われても・・・、と思うに違いないが、祖先や一族を大切にする韓国人には簡単に忘れてはいけない出来事なのかもしれなかった。

日本に対してなかなか厳しいこともずいぶん言われたが、彼女と暮らしたことによって、うわべだけではなく他の韓国人がなかなか日本人の私には面と向かっては言いにくい、深い部分で日本人についてどう考えているのか本音を知ることができた。 受け入れることはできないかもしれないけど、相手が何を考えているのか、またどうしてそう考えるのかを理解することは、外国人と交流する上でとても大切なことだと思う。

また、彼女にはずいぶん助けてもらった。下宿のおばさんに家賃を倍とられたときは彼女が取り返してくれたし、ほかの韓国人に貸したものが返ってこないときは、彼女が交渉してくれた。韓国人は情が深くアツいので、立場の弱い人や、困っている人を見たらすぐに手を差し伸べる。その姿に感心させられることも何度もあった。

彼女を思い出すたびに、彼女より強い男は果たして見つかったのか気になっている。条件が厳しすぎると思うのだが・・・。近々手紙でも書いてみようかな。



(2008年07月24日)

コメント(2)

豊臣秀吉…
そんなこと言われたら、私も「そんな昔のこと?」って言ってしまう…

憎しみ合った過去は変えられなくて、消せないけれど、
私たちの世代が新しい過去を築いていくことができたらいいですよね。
カコさんとヘギョンさんの交流みたいに
個が国を越えてつながることで、未来は変わるような気がします☆

彼氏、できたか気になりますね(笑)

さぶりなさん、コメントありがとうございます!
豊臣秀吉のことは、ほとんどの日本人が、私と同じように反応するだろうと思います。日本人からしてみたら、何百年も昔の大昔のことですよね。
ある人が
「すぐに忘れる日本人、いつまでも覚えている韓国人」
と言いました。
確かに日本人は忘れてしまうのが早い気がしますね・・・。
いいのか悪いのかはわかりませんが。
さぶりなさんの言うように、草の根の交流が、国同士の関係を変えることがあると信じたいです。
彼氏は気になりますね~^^
手紙を書いてみます。

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