中国人の友達麗麗(リリ)と、日本人の友達M子とランチしていたときのこと。麗麗は、M子の新しい彼氏について興味津々で尋ねた。
「M子の彼氏ってどんな人?イケメン?」
「全然。カッコよくないほうだよ。」
「頭いい?お金持ち?」
「別によくないよ。お金も特にないよ」
「じゃ、優しいとか?」
「そんなことないよ。普通」
麗麗は納得いかないという顔をして言った。
「じゃあ、いいところないじゃん。なんでM子はその人と付き合ってんの?」
M子は謙遜のつもりでそう言ったというのが私には分かっていたので、思わずM子と顔を見合わせる。
中国人と話していると、
「うちの息子は、とびきりイケメンなのよ~」
「私の娘は頭がよく、大変気立てがいい」
「ぼくの妹は、美人ですごくモテるんだよ」
などと、身内をほめちぎる言葉をよく聞く。
それから、驚いたのが下の一言。
「たくさんの男の子が、私のことを好きなの~」
友達にそう言われたとき、「この子大丈夫かな」と、ちょっとひいてしまったが・・・。その時周りにいた中国人の反応は、特に驚くようなことを聞いたという感じではなかった。
謙虚であることが美徳な日本人なら自分や身内をほめたり、自慢するようなことはあまりないので、最初はオドロキの連続だったが、中国人はメンツを重視するためか、堂々と上記のようなことを言ってのけることがある。
中国に進出している大手日系企業の社長さんに話を伺ったことがあるが、求人情報を見て面接に来た中国人は、初級レベルの日本語しかできなくても、「日本語ができます」と胸を張って言う人が多いという。それで、いざ日本語の新聞を朗読させてみると、ほとんど読めない。逆に日本人は、たとえ英語がビジネスレベルの域でも、謙遜して「困らない程度にはできます」「得意というわけではありませんが、そこそこできます」などと言う。社長さんの話では、面接官が中国人だった場合は、そのような表現をすると、自信がなくてそのような表現をすると思われて落とされることがあるという。
これも根本的な考え方の違いだが、中国人には日本人の言動は、必要以上の謙遜で卑屈にすら思えるかもしれない。麗麗がM子が言ったことに対して疑問に思うのも納得がいく。麗麗が、
「私の彼氏はね、すっごく優しいの。背も高いしね。顔もイケメンだよ。今度紹介するね」
と、全く悪気なく満面の笑みで言ったので、私とM子は再び顔を見合わせて苦笑いした。

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