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第33回 しゃべり方は環境で決まる

「そうなのよ~。昨日、うちの奥さんと一緒に映画見たけどね、すごく面白い映画だったの~。」
日本人配偶者を持つ中国人の男性と話していて、いつも気になることがあるので、思い切って言ってみた。
「日本語、誰に習った?あなたの話し方、女性っぽいっていうか、その...オカマ、いえ、男性だけど、女の人みたいな話し方するタレントさんみたいに聞こえるんだよね。」

彼は「オカマ」に敏感に反応した。中国語に切り替えて言う。
「マジで!?俺の日本語『オカマ』っぽい?日本語は、日本語学校で習ったんだけど...」
私は彼の奥さんの話し方の特徴を思い出して、思わず言った。
「奥さんとはいつも日本語で話してるんでしょう?その話し方、奥さんの影響じゃない?」
「あ~そうだ!口語はほとんど奥さんに習ったわ。習ったというか、一緒に生活してて、自然に覚えたんだけどさ。」

外国語を勉強するときは、小さい子供が言葉を覚えるのに似ていて、身近にいる人、常に一緒にいる人の影響を強く受ける。私にも覚えがあった。
韓国留学中、初級のクラスは私以外、全員男性だった。その8割が中国人で、私は彼らといつも中国語で会話していた。やっぱり男の子はどこの国も同じで、多少乱暴な言葉を使ってみたり、言い方がきつかったりする。毎日そんな中国語を聞いると、こちらもそれに慣れてくる。外国語なので、どのへんが乱暴なのかよく分からないということもあり...、気がついたら一緒になってその荒くれた中国語を使うようになっていた。

「何なのそのしゃべり方は!?」
と、中国の女の子にあきれられて、
「この話し方はまずいのか...」
と、気づくこともあったり。一度慣れてしまうと、話し方を変えるのは大変だった。今考えると、彼らから女の子はなかなか教えてくれないような単語を習うことができて、ある意味勉強にはなったんだけど...。

方言についても同じことが言える。留学生が日本語学校で習うのは標準的な日本語だが、地元の人と積極的に交流している人は、その地方の方言がどっぷり入ってしまう場合が多い。たいていは言われるまで方言だと気づかずに使っている。
「隣のクラス、次体育なんか?ええのう~」
と、高校の時、アメリカから来たブロンドの留学生が言ったので、みんなぶっ飛んだことがあった。思いっきり福井弁!彼女は地元の人の家にホームステイをしていて、帰国するまで、そのしゃべり方が抜けなかった。まぁ、周りに誰も標準語をしゃべる人がいないのだから仕方ない・・・。その後彼女はアメリカの大学で日本語を専攻したという話を聞いたが、あの染み付いた福井弁は、なかなか抜けないだろうと思う。

「どうしよう、これから男らしいしゃべり方に直したほうがいいかな...。」
と、真剣に悩む中国の彼に、
「いいんじゃない?それも味があって。それをウリにしたらどう?」
と言っておいた。



(2008年02月07日)

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