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第27回 忘れられないクリスマス

毎年、この時期になると、大量にクリスマスカードを買いこんで韓国と中国に送る。韓国は特に、クリスチャンの友達が多いので数が多い。 カードを書きながら、ふと数年前、韓国で過ごしたクリスマスを思い出した。

私はソウル市近郊の中国人街に住んでいた。中国ではクリスチャン以外は、クリスマスを祝う習慣がなく、24日になっても中国人のルームメイトたちは「クリスマス」のクの字も言わなかった。私は「今日はクリスマスイブだよね。」と口にだしてみたが、「へぇ、今日がそうなの」という反応が返ってきただけ。そういうわけで、イブの夜は何事もなく過ぎていくだろうと思っていた。

夜、私は公衆電話に実家に国際電話をかけに行った。 話し終わると、なんとなくホームシックになって、真っ直ぐ家に戻れずに街をうろついた。 大きな通りのパン屋やバーの窓ガラスにはクリスマスの装飾がしてあって、店内では重たいくらいに飾り付けられたツリーが、ピカピカとカラフルな光を放っていた。しばらくそれをぼんやりながめてたら、雪が降り出した。 ますます寂しくなって、とぼとぼ歩きながら家についたら、

「遅かったね!!心配したよ!」
と、なぜかルームメイトがフルメンバー(9人)で待っていた。
部屋にはいると、でっかいケーキがおいてあった。
「クリスマスだからさぁ。」
と、一番仲良しの玲燕(リンイエン)が言った。 一目見て、私はそれが自分のために用意されたものだということがすぐに分かった。

「中国じゃ、クリスマスってしないんじゃ…」
「そうだけど、いいじゃん、ここは韓国なんだし。楽しんだってさ。」
と誰かが言って、シャンパンを勢いよく開けた。 みんな普段はシャンパンなんて飲まないのに…。

クリスマスプレゼントだよ、と、包装された包みをわたされた。 開けてみたら、箱にぎっしり干し柿がつまっていた。 干し柿もケーキも彼女たちの収入から考えると決して安くはないのに。
「クリスマスは、日本では大切な日なんでしょ。 カコがホームシックになってるんじゃないかと思ってさ。 カコには私たちがいるよ!」
私がずっと前に、クリスマスは日本では一大イベントだ、プレゼントをもらって、ケーキやご馳走を食べる、と言ったのを彼女たちは覚えていた。そして、その日本では「特別な日」に、私が寂しい思いをしないように彼女たちなりの「クリスマス」を用意してくれていたのだった。中国人が友情をとても大切にすることは知っていたけど、外国人である私をここまで気遣ってくれたことが、涙がでるほど嬉しかった。

でも私より先に泣き出したのは、焼演(シャオイエン)だった。
「ホームシックになったぁ~。帰りたいよう~~。」
そういえば、彼女たちは韓国に働きに来て、何年も家に帰っていないのだった。 私なんかよりずっとずっと寂しい思いをしているはずだ。 クリスマスの雰囲気だけで、なんとなく寂しくなっていた自分が恥ずかしくなった。

その後は、焼演をみんなでなぐさめて、おなかいっぱい干し柿とケーキをたべて、 更に10人くらい友達を呼んで、 遅くまで騒いだ。

とても幸せな夜だった。

ハルビン新華書店


(2007年12月20日)

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