中国に滞在中のある日、料理をしていた友達に「油がなくなる!ちょっと買ってきてよ」と、頼まれた。 彼女の手にはまだ三分の一くらい入っているサラダ油が。油ってまだそんなにあるけど、と言いかけて、友達がどぱどぱ鍋に油を注ぐのを見て、言葉を失う。 彼女が作ろうとしているのは野菜炒め。天ぷらではない。
「あと、味精もね!!」
味精(ウェイジン/weijing)とは、日本にも同じようなものがあるけど、グルタミン酸の化学調味料。味素(ウェイス/weisu)ともいう。 そう言われて、確か味精はこの前買ったばっかだったなぁと思って確かめると、袋にはほとんど残っていなかった。
中華料理といえば「油」というイメージがあると思が、正にそのとおり。これでもか、というくらい油を入れる。「日本の野菜炒めは、野菜蒸しだ!」と言った中国人の友達がいる。つまり油の量が、中国の野菜炒めと比べて全然足りないということ・・・。現地で食べた麻婆豆腐や、麻婆茄子には一センチ以上油が浮いていた。食べても気づかないかもしれないが、中国では餃子の具にも実は油がたっぷり入っている。「油は多ければ多いほど美味しい」と、中国人の友達は言う。
そして、炒め物もスープも煮込み料理も料理全般が微妙に甘い。それは砂糖じゃなく、味精の甘さ。よく使うので、大きい袋のを買ってきても、すぐになくなってしまう。最近は、味精を採りすぎると身体に良くないということが常識になってきて、鶏がらスープの素に切り替えている家庭も増えてきているが、やっぱり外食すると、あの化学調味料特有の甘さを感じる。油たっぷり、化学調味料たっぷり・・・、美味しいことは美味しいんだけど・・・。油を大量に採ることに慣れていない日本人留学生や旅行者は、初めのうちは胃腸をこわしてしまうだろう。
日本料理は中華料理に比べると、砂糖と醤油をとにかくよく使う。中国では、料理に砂糖を一切使わない家庭もあるので、中国人にしてみたら、日本料理はとても甘いという印象が強いようだ。 韓国料理も砂糖と醤油は結構使うから、辛いのを除けば、味付けとしては韓国料理のほうが日本料理に近いかもしれない。
以前中国人数人と同居していたときに、煮物系の和食を作ってみたけど、これがまた彼女たちの口に合わず、甘すぎてまずいとかなり不評で、へこんだ私はしばらく厨房に立てなかった。中国人は、はっきり言うからなぁ・・・。
日本料理は素材そのままの味を生かしたものが多いけど、中華料理は、香辛料や調味料を使って本来の味がわからないくらい複雑な味付けをしたものが多い。中国では国土が日本の数倍なので、輸送する間に新鮮ではなくなってしまうということも関係あるが、野菜も肉も魚も卵も生では食べない。中国人と同居している時に、生野菜サラダを食卓に出したら、やっぱりだぁれも食べなかった。
油に関して、一つ意外だったのは、天ぷらやフライは中国人にはあまり好まれないということだ。日本にいる中国人留学生でも、あまり好んで食べる人を見ない。あれだけ油を使う料理を毎日食べているのに、天ぷらやフライは「油っこいから」という理由で敬遠される。なんとも、不思議な話だなぁ・・・。「油っこいから」食べてくれるかと思って、コロッケやフライも作ってみたけど、これまた残された。私は厨房に立たないほうがいいみたい。難しいなぁ。私の作る料理はルームメイトの口に合わないのだ・・・。

このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第21回 油と味精
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