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第16回 地下鉄の中で~愛国心と正義感~

韓国で。同じ韓国語学校のロシアの男の子と一緒に地下鉄に乗ったときに座席に座っていたら、立っている人たちがジロジロ彼を見て、その中の一人の中年の女性が、
「外国人だね!アメリカ人かい!?ウリナラ(私たちの国)から出て行きな!」
と言った。折しも、駐留しているアメリカの軍隊が中学生二人をひき殺すという痛ましい事件があった直後だった。おばさんは、彼の色が白く彫りの深い顔立ちを見て、アメリカ人とだと思ったらしかった。そのおばさんは彼をしばらく罵り続けた。連日報道されているその事件から受ける苛立たしさを、彼にぶつけられるだけぶつけているようだった。彼が本当にアメリカ人かどうかなど、実はどうでもよさそうだった。彼は実はほとんど韓国語が聞き取れるが、じいっとおばさんを見つめて黙っていた。

「やめなさい、そんなことを言うものではないですよ」
「そうですよ。韓国人の印象が悪くなるじゃないですか」
隣にいた中年の男性と学生風の若い男性が止めに入る。
「うるさいね。アメリカ人は自分たちのしたことを考えなさい!」
おばさんは反撃するが、
「気持ちは分かりますが、この人に言うのは何か違います。」
「第一アメリカ人かどうかも分からないでしょう」
などと、その他の人も口々に言う。周りの乗客はみんなこの様子を固唾を飲んで見守っている。しばらく言い争ったあと、おばさんは周りの予想外の反論がショックだったのか、オウオウと泣き出し、そのまま降りていった。

その後、中年の男性が
「Very sorry」
と彼に言った。彼は
「괜찮아요(ケンチャナヨ・大丈夫です)」
と言ったが、彼が全部聞き取っていたと知ったら、みんな驚くだろうし、気まずいだろうな・・・。

韓国の地下鉄の中で口喧嘩しているのを何回か見たことがあるが、本人たちより、見ている人が口出しして事が大きくなってしまう場合も多い。このときもそうなるのではないかとはらはらしたが、幸い大事にならずにすんだ。

韓国人は愛国心が強く、このような事件があった直後は多くの人々が結束してデモを起こし、強く抗議するというのを目にしていたので、このとき他の乗客が彼をかばってくれたのが私も彼もちょっと意外だったが、乗り合わせていた乗客のほとんどが、理不尽に攻め立てられる外国人の彼をかわいそうに思ったのだろう。韓国人は正義感が強く、あのような場でも、自分の意見をはっきり言える人が多いということを知るきっかけになった事件だった。本当に彼がアメリカ人だったら、状況は違うかもしれないが・・・。

日本でもし同じことが起こったら、乗客はどんな反応をするだろう・・・。

* 編集部注 ブラウザの設定によって、中国語・韓国語が表示されない場合が あります。表示させるためにはフォントをインストールしてください



(2007年10月04日)

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