私は韓国にいるとき、何か面白いことがあったら手帳にメモするようにしていたが、地下鉄の中で座席に座っているときに手帳に書き込んでいたら、
上から「この人中国人だよね」という甲高い声が。顔を上げると、目の前にブレザーを着た三人の女子高生が立っていた。
「バカね、日本人でしょう。あれは日本の文字よ。」
「見た目じゃ日本人も中国人も同じだから分かんないわねー。」
「さっきこの人が書いてたハングルすごく変な書き順だったよ。絶対韓国人じゃないね。」
三人は好き放題言いながら、私の顔と手帳を交互にじろじろ眺めている。手帳の字が小さくて見にくいので腰をかがめていた。
韓国人がじっと外国人を見ることはよくあることだ。これは中国人も同じ。珍しいものを見るかのように好奇の目を向ける。街なかで日本語を話していると、視線が突き刺さるのがわかる。中国で汽車に乗っているとき、誰かが日本人がいると言ったらしく、その車両の乗客だけでなく、隣の車両からも人が見に来たこともあった。そのときは、外国人を見るのは初めてだから、一緒に写真を撮ってほしいとまで言われた。
日本人だったら、外国語が聞こえてもチラリと見るくらいで、「あまり見ると相手に失礼だから」と無関心を装い、見たい気持ちを押し殺すだろう。見たいものは見たい、という中韓の人たちは正直だなと思う。
三人の女子高生があまりじろじろ見るので、私もじっと見つめ返してみた。
「ニ、ニーハオ」
と一人がいい、
「コンニチハー」
ともう一人が言った。
私は、
「뭘 그렇게 빤히 쳐다봐요?(なにをそんなにじっと見つめているんですか?)」
と韓国語で言って、驚いている彼女たちに笑って会釈して地下鉄を降りた。彼女たちは窓から相変わらず私を見つめ続けていた。彼女たちはまだ若いし、外国人と接したことがなければ、大人以上にじろじろ見たくもなるかもしれない。全くかわいくて素直な高校生だこと・・・。

※写真:韓国地下鉄の中で、物を売る人。第11回参照。
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