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近いのに、遠い国

第12回 韓国の地下鉄事情(3)

韓国の地下鉄には、

  1. 物売り
  2. 宗教の勧誘
  3. 物乞い

が乗ってくる。

2.宗教の勧誘は、主にキリスト教。韓国では国民の3~4割がクリスチャン。教会の数もとても多く、街のいたるところに教会の十字架が見える。地下鉄の中で話しかけてくるのは中年の女性が多く、「教会に行っていますか?」や「神を信じますか?」から始まり、長いときは降りる直前まで語っている。
教会のパンフレットを渡されることもある。私はクリスチャンではないのですが、と言っても、
「いいから、是非一度教会に遊びに来てちょうだい」
と、おばさまはとっても熱心。フレンドリーで親切なひともいるのでなかなか断りにくいこともあるが・・・。

あるとき、十字架のついたたすきをかけた初老の紳士が、
「教会に行きましょう」
と大声で言いながら、隣の車両からやって来て、ちょうど私の前で足を止めた。そして、
「あなたは神を信じますか?」
と私に聞いた。
 私は眠たかったので、
「韓国語、分かりません」
と言って、やりすごそうとしたが、紳士は
「日本人ですね? なぜ日本人たちは神を信じないのか!?」
と日本語で言い、私の前で説教をはじめた。乗客の視線が集まる。五分ほどたって彼は行ってしまったが、私は恥ずかしくて顔を上げることができずに、寝たフリをするしかなかった。もちろんこういうクリスチャンばかりではないが、韓国では、教会への熱心な勧誘などは、地下鉄の車内に限らず、街角でもよくあることだ。

3. 物売りと同じくらい多いのが、物乞いと言ってよいのか分からないが、乗客に施しを請う人たちだ。初めて地下鉄に乗った日、座っていたら膝の上になにやらハングルで書かれた紙を載せられ、何が始まるのか分からずおろおろしたが、自分の窮状を書いた紙を乗客に配り、お金をもらおうとする人がいることを後になってから知った。(その紙は回収され、また次の車両で使われる。)その他に、歌を歌う、ラジカセで音楽を鳴らしながらやって来る、などいくつかのパターンがある。お年寄りや体の不自由な人の割合が高く、高齢者福祉や障害のある人への保障が改善されつつあるといっても、まだまだ行き渡っていないのでは、と思ってしまう。

韓国で長い時間地下鉄に乗っていると、絶対に何かが起こる。一時間以上乗るときは、いつもドキドキだった・・・。



(2007年09月06日)

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