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近いのに、遠い国

カタヒラ カコ プロフィール

幼い頃から日本全国を転々として過ごす。現在は北海道在住。
アジアが大好きで、中国・韓国に留学経験あり。
中国では韓国人と、韓国では中国人と主に生活していた。
輸入代行・通訳・翻訳業務。

第54回 中国の交通事情

中国に行かれたことのある方は、よくご存知だと思うが、中国のドライバーは概して運転が荒い。まず、一般道でもめちゃくちゃ飛ばす。みんな何をそんなに急いでいるんだ!?と思うほど。バスもタクシーも飛ばすので、特にバスではしっかりつかまっていないと、急ブレーキのときにぶっ飛ばされる。(脱線するが、バスでは込んでいたら足を容赦なく踏まれる。新しい靴でもすぐぼろぼろに。)この前、タクシーに乗って、えらい飛ばしとんなぁと思って、メーター見たら、95キロだった(注:一般道です)そして、日本ではありえない車間距離。ぎりぎりでのブレーキ。更に、譲り合いの精神はない・・・。

それから、過積載。荷物載せすぎでしょ、それ!っていうトラックが多い。トラックが潰れるんじゃないかっていうのも見るくらい。中国人の言い訳としては「たくさん積まないとさ、儲からないからさ~」だそうですが。

あと、最初に驚くのが、車が凄い速さで走っていても、人がへっちゃらで横断していくこと。信号があるところが非常に少ないので、(あっても守らないし)みんな好き放題自分の渡りたいところで渡って来る。(渡ったらだめなところには警官がいる)車は、人がいても全然スピードを緩める様子がないので、見ていて「危ないっ!」と目を覆いたくなることも度々。

ところが、自分もそうしないと向こう側に渡れないような状況も多く・・・。最初は寿命が縮む思いをしながら、「どうしよ~、渡れないよ~。」と、数十分間おろおろするのだが、そのうち慣れてくると、自分めがけて突進してくるバイクや車を目で威嚇しながら、「行ける、行ける」とさくさく渡れるようになる。そして、日本に帰国してからも、大通りを自分の好きなところで渡ろうとし、止められる(笑)

そんなんだから、交通事故はとても多い。一年半ほど前、中国に一ヶ月半ほど滞在したが、滞在中に交通事故を実に6回も目撃した。6回は多すぎだろう・・・。トラックが横転して、貨物台の野菜、かぼちゃやきゅうりがそこらじゅうに飛び散っていたり、橋の真ん中で正面衝突とか。バスの下に人が丸まって入っているのを見たときには、しばらく物が言えなかった・・・。

中国では、へこんでいたり、傷があったりする車を見ることが多い。これ走れるの!?と思うような車も・・・。事故が多いし、ちょっとした接触事故くらいなら日本のようには修理しないようだ。

とにかく、みなさん中国に行かれることがあったら、交通事故にはくれぐれも注意してください!

兵馬俑

第53回 一人っ子政策

久しぶりに福建の男の子とメッセンジャーで連絡をとってみた。彼、最近子供ができたそうで。
「よかったね~!!おめでとう!」
「うん、まぁそうなんだけど...」
なんだか、手放しで喜んではいない様子。

「どうしたの、嬉しくないの?」
「いや、嬉しいんだけど...、実は双子なんだ」
「えっ、双子?!おめでとう~喜びも二倍だね!!」
「うん...、でもさ、そうも言っていられないんだよ」
彼は、いい仕事も見つからず収入が少ないので、一人でも大変なのに一気に二人生まれたら、育てていけるかどうか不安だと続けた。

数日前に別の中国の友達から、3人目の子供ができたと連絡をもらっていた。
彼女のだんなさんは、建築関係のお仕事をしていて、高度経済成長の建設ラッシュの波にのり、商売はすこぶる順調。 日本の同じ年くらいのサラリーマンの数倍は稼いでいる。
彼女は、
「何人でも生めるよ。罰金も問題ないわ。お金があれば怖いものはなにもないのよ」
と言っていた。

中国は一人っ子政策で、二人目からは、一般約2万元(日本円で約30万円)以上のかなり高額な罰金をとられる。この額は、一般の中国人の年収の数倍で、3人以上生むと金額は更に上がる場合もあるという。が、彼女のような富裕層にはたいして大きな額ではない。中国は今景気がいいのでお金持ちも増え、生めるだけ生む人も増えている。
(※一人っ子政策は、少数民族や一部の農村の地域には適用されていない場合もあります。外国人と結婚した場合にも関係ありません。)

三つ子や双子の多胎児を生んでも、罰金の対象にはならないのだが、やはり出産、子育てにお金がかかるのは中国も同じ。一方では、喜び半分心配半分の複雑な気持ちで双子の誕生を待ち、一方では、何の問題もないと言い切り、三人目を生もうとしている・・・二人の話を聞いて、今盛んに言われている中国の格差社会を身近なところで感じることになった。

それでも、最後に彼が、
「でも、生むと決めたんだから、一生懸命働くよ!!彼女も頑張るって言ってくれているし。ほんとは罰金払えるなら、子供たくさんほしいんだけどね」
と言ったので、なんだか救われたような気持ちになり、
「そうだよ!頑張って!!折角授かった命なんだから、大事にしないと。お父さんになるんだから、これからは酒飲んだくれて、賭け事ばっかりしてたらだめだよ!」
と、一言余計だが心からのエールを送った。

二人に元気な赤ちゃんが生まれてきますように。


第52回 整形手術の通訳をお願いします!?(2)

韓国人の友人が、ソウル市カンナム(강남)にある有名な病院と、二重手術の費用の相場を教えてくれた。カンナム区には、美容整形街といえるほど、美容整形外科が集中していて、費用は日本円で九万~十三万円くらいだということだった(数年前です)。さっそくその病院に電話して予約をとる。
   
賑やかなメインストリートに面した大きなビルの最上階に、その病院はあった。中に入ると、入り口のすぐ脇には大きな水槽があり、熱帯魚が何匹もひらひらと優雅におよいでいる。大きな白いソファがいくつも置かれ、天井には小さなシャンデリア。クラシックが静かに流れ、落ち着いた雰囲気をかもし出している。病院というより、エステサロンの待合室といった感じだった。
 
三人の受付譲のくっきりした二重を見ながら、天然の二重だろうか、それともここでしたのだろうかと失礼な考ことを考えてしまった。麗燕も同じことを考えたらしく、中国語で、
「あの人たちの目は、どうなのかな~」
と呟いた。

 担当医はめがねをかけた、中年の優しそうな男性だった。白衣は着ていない。唐辛子の模様の黄色いシャツを着ていた。
「先生おしゃれですね」
と言うと、
「患者さんを怖がらせないために、わざとこういう面白い柄のシャツを着てるんですよ」
と笑った。

先生は、針金のようなものを取り出し、その先を麗燕の瞼にあてて二重を作り、彼女の希望の大きさを確認する。麗燕は緊張して言葉少なになっていた。
「あれ?どうして震えているの、僕はもう結婚しているから怖がらなくていいよ」
 先生は彼女の緊張をほぐすために、おどけて冗談を言った。
 
そのあと、手術方法の説明を受ける。二重の手術方法は何種類かあるようだが、彼女には切開法と言われるまぶたに沿って切開し、脂肪を取り除いて縫い合わせるという方法が適しているという。切開という言葉を聞いて、麗燕は不安そうに私を見た。
「大丈夫、痛くないよ。きれいにしてあげるから」
先生は、大きな手で彼女の肩を叩いた。カウンセリングの時間は20分~30分くらいで、すぐに手術の準備に入った。当日手術するとは思っていなかったので、ちょっと驚いた。

 ここからは通訳は必要ないと言われ、私は手術室には入れてもらえず、待合室で待つことになった。手術室のドアが閉まる前に、麗燕は死刑台へ向かうような顔で振り返った。
 
一時間ほどして、看護士に手術が終わったと告げられた。案内された部屋に行くと、彼女がベッドに寝かされていた。目の上には目を冷やすための布がのせられている。彼女は私に気づくと、私の手をぎゅっと握った。
「怖かったよ~。注射されて目が開かなくなって、カチャカチャって音しか聞こえなくてさ、あんたに手を握ってほしかったのに、いないしさぁ......」
三十分目を冷やして横になった後、彼女は準備してきたサングラスをかけた。二重の手術をすると、一週間くらいははれがひかず、人によってはあざが消えるのに時間がかかるため、しばらくはサングラスが必需品となる。このことを知ってから、冬でもサングラスをかけている女性を見ると、もしかして......と思うようになった。

彼女の瞼にはバンソウ膏のようなものが張られていた。三日後にそれを剥がして抜糸となる。抜糸までは顔は洗えない。頭も洗えないので、気になるなら美容院で洗ってもらったら、と看護士がアドバイスしてくれた。(美容院に付き添ったら、何も言わなくても、美容師のおばさんが、「あら、二重の手術したのね。どこでやったの?いくらで?」などと聞いてきて、会話がはずんだ(?))

麗燕の手術を知った友人たちの反応はすごかった。中国の男の子たちは、みな整形反対派で、
「しなきゃよかったのに」
と、ブーイングの嵐。彼女に協力した私まで罵られかねない勢いだった。それでいて、みな興味津津で、彼女の顔を舐めるように眺める。
「何よ、あたしの勝手でしょ!」
麗燕が怒鳴る。中国の女の子はやっぱり強い。

 彼女は、術後の経過に神経質になっていたが、三回目の診察で、待合室で向かいに座っていた手術を待つ娘と付き添いの母親が、しげしげと彼女の目を見ながら言った。
「あらまぁ、自然な二重ねぇ。こんなふうにできるなら、安心よね」
 麗燕はその日一日上機嫌で、私は大役を果たしてほっとした。


第51回 整形手術の通訳をお願いします!?(1)

「カコにお願いがあるんだ」
韓国滞在中、中国人の友達、麗燕(リーイェン/仮名)から呼び出された。中国人は、仲がよければ頼みごとが多いと以前述べたことがあるが、考えてみたらこのときのお願い事が、一番ぶっとんでしまう内容だったかも。

「まだ誰にも言ってないんだから。二人の秘密だよ!あのね、私、整形しようと思うんだ」
「ええ~?!整形!?」
「そう、二重にするの」
「二重にしなくても、麗燕は十分可愛いよ。焦らないでよく考えてみなよ。それにお金結構かかるんだよ」
 私は彼女を説得しようとしたが、彼女は頑として譲らない。二重にするのは彼女の夢で、そのために前からお金をためていて、どうせやるなら、中国より美容整形手術のレベルの高い韓国で!(数年前のことです。現在は中国の美容整形もかなり進歩しているそうです。)ということだった。

「で、私に頼みごとって?」
「手術の上手な病院を探して欲しいの。それから、手術のときに通訳してくれない?お願い!!カコにしか頼めないの」
彼女の勢いに負けて、引き受けるしかなかった・・・。

韓国には、ご存知の通り美容整形外科が多い。韓国女性の中には、化粧の延長のような感覚で整形をする人が多いように思う。彼女たちは、美しさを得るための手段として整形をすることに、あまり抵抗を感じていないようだ。
 一番ポピュラーなのは二重まぶたにする手術だが、鼻を高くしたり、唇を厚くしたり、骨を削って小顔にする、などいろいろなコースがある。
 
 韓国では、大学に合格したお祝いに親がお金を出して整形手術をプレゼントすることも多いし(環境が変わる節目であるし、春休みを挟むので手術に都合が良い)、就職活動の一環で整形をするという人もいる。外見が美しいほうが、面接に有利だからだそうだ。これは韓国社会の中で、女性が内面や能力で評価されるのが難しく、外見が特に重視されているということの現れのように思える。

また、韓国に滞在中感じたことだが、韓国人男性は、女性の容姿について口に出してほめることが多い。綺麗な女性がいたら、「どうしてそんなに綺麗なんですか?」「こんな美人と出会えるなんて幸せです」などと、歯が浮いてしまうようなセリフを面と向かって、サラッと本人に言う。(他の女性が周りにいても)そして、ちやほやする。美人は優遇されるのだ。この点は日本よりあからさまで、ちょっと驚いた。韓国人男性の中には、整形肯定派が多い。「女性を連れて歩くなら、美人にこしたことはない。美しくなければ、直せばいい」と、あるTV番組で韓国人男性が言った言葉が強烈に印象に残っている。

なので思った。韓国人女性を「美」に、「整形」に走らせるのは、男性や社会なんじゃないのかな・・・と。こんな環境の中にいたら、みんな「きれいになりたい!!」と思ってしまうのも無理はないんじゃないか・・・と。韓国人の友達の中には、整形した人が何人かいるのだが、みな手術したことを隠そうとはしないので驚いた。韓国人女性の美に対する意識は、切実で、貪欲で、それでいて潔い。

脱線したが、(2)に続く。

第50回 世界最大級の卸売り市場-義烏-

中国浙江省義烏(イーウー)市というところに、世界最大級の卸売市場が集中している。そこには、雑貨、アクセサリー、家具、おもちゃ、かばん、時計にいたるまで何でもある。その中でも一番大きな市場「国際商貿城」の敷地面積は、30万平方メートル以上、三階建て、店舗数は一万軒以上にもなり、毎日世界中から数万人規模のバイヤーがやってくる。

日本人のバイヤーも多く訪れているはずだが、数年前に私が行ったときには、韓国人と中東系、アフリカ系のバイヤーさんたちが圧倒的に多く、お店の人には韓国人かとよく尋ねられた。広大な敷地にずらりと店が並び、全てじっくり見ようと思ったら、一週間あっても時間が足りないだろう。同じものを扱っている店だけでも、何軒もあるのだから・・・。

100円ショップや雑貨店・・・日本のどこかのお店で見たことのあるような商品をたくさん目にした。日本に輸入されている小物の大半が、あの義烏の卸売市場を通して買い付けされているといっても大げさではないと思う。いろいろ見て回って、日本で売られている商品の原価を知ることができた(笑)

卸市場なので、商品を少量で売ってくれないお店がほとんど。商品によっては100個からしか売れないというところもある。その場には見本しかなく、オーダーしなければならない商品も。

中国語ができなくても、お店の人は簡単な英語ならできるので、値段交渉などは英語でOK。お店の人がアフリカ系のバイヤーと、電卓を叩き合って、英語交渉しているのを見て、圧倒される。どちらもなかなか譲らず、だんだんリアクションと声が大きくなる・・。
オーダーする時に、商品の色や形をちょっと直して欲しい、などと注文するときは、やはり中国語が必要になってくるかもしれない。要求をしっかり相手に伝えても、そのとおりに仕上ってこない場合も多々あるのだが・・・。

義烏空港は、世界中から人が来ているわりには、びっくりするような小さい空港だった。しかも年季が入っているし、国内線のみしかない。が、今後ますます義烏を訪れる外国人が増えると思うので、そのうち建て直して、広州空港顔負けの立派なものができるだろうとは思う。(中国人はメンツを重んじるので、外国人が多いところの空港をあのまま放置しておくとは思えない。)

義烏は、世界に誇る卸売市場があるということ以外は田舎だった(夜7時にはバスがなくなる・・・)が、今の中国の発展振りを見ていると、義烏も今後どんどん変わっていくことだろう。現在、大きな市場を建設中だそうで、今後の義烏の発展に大いに貢献しそうだ。

国際商貿城

※義烏の「国際商貿城」。義烏は上海から車で4時間くらいです。

第49回 値切る、値切る、罰金さえ

中国にいるとき、友達が婚約指輪を選ぶのにつきあわされたことがある。一日中歩き回り、めぼしいデパートのアクセサリー売り場をいくつも見て回った。中国のアクセサリーのデザインは、日本の流行のものとはかけ離れている。日本人が好むプラチナや銀より金が多いし、ぎらぎらして主張の激しいデザインのものが多く、シンプルなものは少ない。

彼女は大きなダイヤが付いた指輪を選ぶと、すぐにダンナさんに電話をして会社から呼び出した。 ダンナさんはやって来て、ちらりと値段を見ると、
「たっけぇ~、安くしてよ!」
いきなり値切った。
ここ、デパートです。アモイで一番大きなデパート...。外資系の。

「それはできません。ただ今300元お買い上げいただいたら80元の商品券をお渡しするキャンペーンを行っておりますので...。」
数百元買ったら、いくらかの商品券で還元というのはよくやっているキャンペーンだ。店員がダメダメと言っているのに、だんなは全く引き下がらない。
「高すぎるわ。これじゃ買えないよ。せめて○○○元だよね。そのくらいサービスしてよ。」
などとしつこく食い下がる。

「無理です」
「そこを何とかしてよ」
これを繰り返すこと1時間半。もう無理でしょう、いい加減あきらめたら?と思っていたら、店員が折れた。
「では、○○○元で。」
「もうヒトコエ!」

結局、2,500元(1元=15.7円/帰国直前のレート)以上も安くなった。言ってみるもんだ。
中国では商店街や市場では、基本的に値切って買い物をする。店員の言い値で買うことはあまりない。値段を聞いて帰るフリをしたら、一気に半額以下まで下がることもある。中国人は、本当に駆け引き上手だ。私も最初はそんなことできない・・・と思っていたが、半年も滞在するうちに物の相場もわかり、度胸もついて、たった3元のものでも2元にまけてくれと言えるようになった。

私はこの日、商店街や市場だけでなく、デパートでも値切れることを知った。ダイヤの婚約指輪でも値切れちゃうんだ・・・。そういえば、それも値切れるの!?とびっくりしたものがもう一つ。留学中、大学の近くで知り合いの女の子がおまわりさんにバイクの3人乗り(※2人じゃないですよ)で捕まっているのを見た。そのときの会話。
「罰金100元払いなさい!」
「アイヤー、今私10元しかないよ。」
「3人合わせても30元しかない。これでカンベンして下さいよ」
「本当にそれしかないのか?」
「ないです、ないです。私たち急いでいるんです。30元払いますから」
「仕方がないな、今回はそれでいいけど、3人乗りはしないように!」
・・・罰金も値切れるんですか・・・。

中国って、どんなものでも値切れるのかもしれない。罰金すら値切れるんだから・・・。


第48回 饅頭は餃子

一つの名詞が、日本語と韓国語では違うものを指すことがある。韓国では、ギョーザのことを「饅頭・만두(マンドゥ)」というので、韓国人は日本で「饅頭」食べたい、と言ったらあんこがはいった甘い和菓子が出てくることに驚く。韓国人が「饅頭」を食べる機会は、日本人がギョーザを食べるのより多いかもしれない。蒸したり、焼いたり、スープに入れたりして食べる。餡にキムチが入っている「キムチ饅頭」もある。「饅頭」は、中国から伝わってきて、昔から良く食べられていたが、最近は家で作られることはあまりない。食堂では人気のメニューになっている。(ちなみに中国で「饅頭(mantou/マントウ)」とは、小麦粉で作った蒸したパンのようなもので、分かりやすく言うと、「中に具が入っていない肉まん」。中国東北地方では朝ごはんとして食されることが多い。)

韓国で「おでん」は、屋台で大人気の食べ物だが、韓国の「おでん」とは、日本の大根やこんにゃくなどの入ったあのおでんではなく、串に刺されたさつま揚げのような魚の練り製品のみを指す。まぁ確かに、似たものは日本のおでんにも入っているけれど・・・。友達に「おでん食べに行こう」と言われてついていったら、屋台の鍋にさつま揚げだけが大量に入っていて驚いた。煮込んでいるだし汁は、日本のおでんの味付けに似ている。韓国オリジナルの赤いおでんというのもあって、こちらは辛い。ちょっと形は違うが、おでんは日本から伝わり定着したもので、発音も日本語のおでんと全く同じ。

もう一つ。一番面白かったものを挙げる。韓国人の男の子が得意そうに言った言葉。
「俺、ヘルスよく通ってんだ~。」
その場にいた日本人の女の子全員が一瞬にしてひいていくのが分かった。
「この人・・・、通ってるんやぁ・・・。」
そんなことを堂々と人前で言えるのはすごいなと思ったが、なんと、韓国では「ヘルス」とか「ヘルスクラブ」とはジムのこと。そう、あの体を鍛える会員制のスポーツジムのことだったのだ。これには一同爆笑。韓国人にこう言われたときは、皆様誤解しませんよう・・・。

第47回 教師の日

韓国では本日5月15日は、教師の日。先生に感謝する日だとされている。儒教社会の韓国では、教師の地位が日本より高く、聖職だと考えられている。

中国留学時代、韓国人留学生の18歳の女の子が、中国人の先生にちょっと反抗的な態度をとったら、たちまち韓国人のお兄さんお姉さん留学生からお叱りの言葉が。また、日本語学校に在籍している韓国人留学生に聞いた話だが、授業に集中せず授業妨害を繰り返して先生を困らせていた某国の生徒たちに韓国人が集団でお説教したとか。「先生」は尊敬されるものだと考えている韓国人ならではの行動だ。

外国人に韓国語を教える韓国語教師は、「先生」であるのに、外国人は韓国人からのようには尊敬してもらえないというのが悩みの一つのようだ。「先生」という地位がそれほど高くない国もあるし・・・。

韓国では先生は「선생님ソンセンニム」と呼ばれる。直訳すると「先生様」。私も日本語を教えているときは、そう呼ばれていた。

「教師の日」には昔から保護者や生徒が先生に贈り物をする習慣がある。生徒が小物や花、手紙など気持ちを込めたささやかな贈り物をするのは微笑ましいのだが、近年は高額な贈り物や現金を渡す保護者が増えてきて社会問題になり、(数十万円~数百万円の贈り物の場合もあります)、それを防ぐために「教師の日」に、半分以上の学校が休校になった年もある。

韓国で日本語を教えていたときには、教師の日にピアスとキーホルダー、手紙をもらった。生徒はみな大変礼儀正しく、私より年上の生徒もいたが、私には必ず敬語を使って話し、くだけた態度をとることはなかった。理由を聞くと私が「先生だから。」徹底した態度に関心させられた。

ところが韓国でも、最近では学校には日本と同じようにいじめや不登校などさまざまな問題があり、保護者との付き合いも大変なようで、やはり先生は苦労が耐えないようだ。話を聞くと日本の教育現場とそう変わらない。そして、若い世代には昔ほど先生は尊敬される対象ではなくなってきているとのこと。韓国社会にしっかりと浸透していると思われた儒教精神が薄れてきているということか・・・。西洋化、近代化による時代の流れもあるのかもしれない。


第46回 おかし~な日本語たち!

乾燥梅

写真をご覧下さい。中国で購入した乾燥梅・・・に書かれた怪しげな日本語。「味す具體化する乳ブラム」(「體」は「体」の繁体字です)とは何でしょう?その横の青字「ぃ健康す食品きねへは さしに洋たょたひ・・・モヒッヌム」って・・・??

中国に行かれたことのある方なら、一度は目にしたことがあるのではないかと思いますが、中国のスーパーや百貨店に売られている食品、百貨店で売られている洋服のタグや、靴の中に意味不明の日本語の羅列が見られることがよくあります。

「日本物産店」と看板をかかげたお店が(チェーン店です)広州のショッピングモールに入っていて、中に入ってみると、お菓子やおつまみなど日本語が書かれた様々な商品が。ですが、一つも正しい日本語が書かれたものがな~~い。どれもこれも日本人が見たらお腹を抱えて笑いそうなおもしろ日本語が書かれていました。日本で見たことのない商品ばかりだったので、「日本物産」といっても、中国で作られたものでしょうね。アモイのレストランで鍋を食べたとき、ガスコンロにも「ェシヤキカツヤシ レケレーショシュシロ」と書いてありました。意外なところにも、おもしろ日本語があったので、思わず笑ってしまいました。

中国人の友達に「これはホンモノかどうか確認してほしい」と日本産だという化粧品を見せられたことがあるのですが、残念ながらニセモノでした。だって、「美白効果めり」「アッサーヅ」って書いてあるんですもの・・・。(「美白効果あり」「マッサージ」の間違いでしょうね)ニセモノだとわかると、友達はかなりがっかりしていました。あと一息なんですけどね。さすがに漢字の部分は間違っていません。中国人は漢字わかりますから・・・。

中国人の話では、日本語は「外国のもの」という高級感が出るから表記されているのだそうです。一般の中国人は日本語が分かりませんので、日本語を見ると日本のものかな~~??と思って買っていく場合もあるのだそうで。だからと言ってこの日本語はどうなのかな・・・。日本語のできる人にちょっと聞けば直せそうですが。

因みに韓国語が表記されたものもありましたが、こちらも見事に間違ってました・・・。

第45回 オマエのものはオレのもの!?

「ドライヤー借りてもいい?」
お風呂上りに、ドライヤーを借りようと思って、ルームメイトの玲燕(リンイエン)に聞いたら、彼女がキレた。
「いい加減にしてよ、使ってもいいに決まってるでしょう。いちいち聞かなくていいよ。」
人のものを使ってもいいかどうか聞いてから使うのは、日本では当たり前のこと、というかそうしないと相手に失礼だという意識があるので、中国人に対しても同じように聞いてから使うようにしていたが、他のルームメイトからも嫌な顔をされたことがある。

「仲のいい友達なんだから、別に許可なんてとらなくてもいい。」
これが彼女たちの言い分だ。いちいち許可を取って、使い終わったら「ありがとう」なんてやめてよ、と彼女たちは言う。はっきり言って、これは日本人の私には衝撃だった。仲のいい友達のものなら許可なしに見てもいいし、使ってもいいし、食べてもいいのだ。親しい仲には遠慮はいらないんだよ、という考え方。「ありがとう」なんて他人行儀で水臭いじゃないの・・・と。

友達の携帯は勝手に見るし、友達ん家の冷蔵庫は勝手に開ける。中からものを取り出して勝手に食べることもある。ルームメイトとの暮らしでも、友達のものは自分のもの、というような感じ。彼女たちは、洋服や鞄の貸し借りを頻繁にしていて、もうどれが誰のものか分からない。買ってきたものが1個も自分の口に入らないうちになくなっていることもしばしば。洗面所に置いている私の香水の減りが早いなと思ったら、ルームメイトがみんな同じ香りを漂わせている。

日本人なら、家族間ならそういう感じかも知れないけど。いや、家族でも家庭によっては嫌がる場合もあるかもしれない・・・。日本では、所有の意識が強く、他人のものと自分のもの区別が明確だから、勝手に人の物に触れる習慣がない。日本の習慣を説明したら、「許可なしで使ったくらいで、めくじら立てられるなんて小気(けち)だね~」と言われてしまいそう。

気兼ねしないで使っていいというのは楽なんだけど、これに慣れすぎると、日本社会に適応できなくなる恐れが・・・(因みに韓国人も、中国人の習慣と同じ。親しければ、気兼ねなく友達のものでも使います。もし一緒に生活するようなことがあるときは、驚かないでください。)


第44回 地縁 運命共同体!?

中国には56も民族があって、民族が違っても個人個人での付き合いなら問題ないのだが、集団になって民族を背負ったとたんに
「○○民族は大嫌い。」
などと言い出して、けんかになることもしばしば。去年の秋も山東省で、イスラム系の回族と漢民族が数千人規模で衝突して多数の怪我人が出た。

民族だけじゃなく、出身地ごとの派閥もある。その対立は日本以上のものだった。関西人が言う「東京もんは嫌いや」なんてまだまだかわいいもの。韓国にいたとき、私はいつも中国福建省の友達と一緒に過ごしていたが・・・、山東省の友達からは、福建人は品がないから一緒にいないほうがいいよ、と言われていた。福建人は福建人で、山東省や中国東北地方の人間は、喧嘩っ早くて田舎くさいからつきあうんじゃないよ、と私に言う・・・なんてことがよくあった。同じ中国人同士なのに、どうしてそこまで言うのかな~と最初は不思議に思ったが、中国は地縁意識が強いということを後で知った。

同じ地域出身だと強固な仲間意識で結ばれる。同じ地区の出身者が常に行動を共にし、その地域の方言だけで話すという光景をよく見た。だが、その仲間意識が原因で流血事件になることも・・・。
韓国で中国人街に滞在中、標準語圏(北京語圏)の子が、方言で話している地方出身の子数人に仲間はずれにされたと思い込み、殴り合いの大喧嘩になる・・・なんてことは、よく耳にすることだった。

そして、仲間意識が強いので、仲間がやられたら黙ってはいない。必ず加勢する。自分は関係なくても、仲間に害が及んだらやり返すこともある。なので、最初は小さい小競り合いでも、だんだん大きくなって、気づいたら数十人VS数十人、だれが味方かもわからなくなっちゃってたりして・・・。

ある日、福建の友達が二人入院したと聞いて、急いで病院に駆けつけたら、原因はけんか。福建人VS東北人、数人対数十人でかなり分が悪かったようで。二人ともスコップで殴られて、指がちぎれそうだったので、緊急手術したということだった。二人は仲良く丁度反対の手の同じところにぐるぐる包帯を巻いていた。

けんかの原因は、福建の友達が携帯電話を貸さなくて、「福建人はケチだな!」と罵られたことに始まり、1対1がいつのまにか数十人を相手にすることになったということだった。

病院に集まった福建グループの子たちが、口々に
「よぉし、お礼参りだ!!」
などと言っているので、一応止めたのだが、
「だって仲間だから、カタキをうつのは当たり前だろう?」
と言うので、
「それで問題が大きくなることもあると思うんだけどね・・・」と言ってみたが、効果なし。そして泥沼の報復合戦へ突入・・・。(なんとか収拾がつきましたが)中国人の地縁意識の強さをひしひしと感じたのであった。


第43回 キムチ冷蔵庫

最近日本に来たばかりの韓国人留学生が、「キムチが食べたい!自分で作りたいんだけどさ、日本にはキムチ冷蔵庫がないから、大量には作れないのよね・・・。」と、ぼやいていた。

韓国の多くの家庭にはキムチ冷蔵庫というキムチ専用の冷蔵庫がある。この冷蔵庫は、キムチを大量に長期保存するのに優れた特性を持っている。昔は、キムチを壷に入れて土に埋め保存していたが、今はマンション暮らしの人が多くなり、それができなくなったので、キムチ冷蔵庫があると大量に作ったキムチを一年中保存できて大変便利なのだそうだ。キムチ冷蔵庫は、キムチを保存するのに適した温度に保て、普通の冷蔵庫より乾燥しにくいのが特徴で、私がホームステイしていた家では、キムチだけでなく果物や魚介類を入れていた。キムチ冷蔵庫の形は、ダイヤルのないちょっと大きい二層式洗濯機のよう。初めて廊下にでんと構えるキムチ冷蔵庫にお目にかかったときには、思わず「こんなところに洗濯機ですか?!」と言ってしまった・・・(笑)

韓国では毎年冬になると、数ヶ月食べる分のキムチを一度に大量に作る。そのときに使う白菜や唐辛子、にんにくの量は半端ではない。(韓国人は一日三回キムチを食べるので、数か月分といったら大変な量です。)よく市場で、恐ろしいほど堆く積まれた唐辛子の山を目にすることがあるが、この冬のキムチを作る作業を見ると、あの唐辛子はこのように消費されるのか・・・と、納得してしまう。

韓国人曰く、「日本のキムチはニセモノだよ」。日本で作られて売られているキムチには、砂糖が入っていることが多いが、本場韓国のものには入っていない。(ナシやリンゴを入れたりはしますが)岩塩を使い、海老の塩辛や魚醤を入れる。韓国人が言うには、日本の白菜や唐辛子と韓国のものは違い、日本のものは水分が多すぎるし唐辛子は甘みが足りないので、キムチを作るには適しておらず、調味料を揃えて日本で作っても本場の味にはならないのだそうだ。

大量のキムチを漬けるときは人手がいるので、親戚や近所の人が手伝いに来る。韓国にホームステイ中、学校から帰ったら、大量の白菜と唐辛子の粉が居間を占領していて、親戚のおばちゃんたちが、わいわい賑やかに作業していた。昔から、キムチを漬けるのは一大行事で、近所中の女性を総動員したそうだ。今も昔も、キムチ作りは韓国の冬の風物詩になっている。


第42回 小気(ケチ)が嫌

「私は、小気(ケチ)な人がどうしても許せないの。私が一番きらいなタイプの男は、小気な男よ。」
好きな男性のタイプについて中国人の女の子数人と話していたときに、一人が言った。他の女の子も、「そうね~、特に男の小気は最低だわ」と次々に賛同する。私はふと思った。日本人の女の子に嫌いなタイプの男性を聞いたら、最初に「ケチ」はあがらないんじゃないかな...。彼女たちの「小気(シャオチー/ケチ)」に対する嫌悪感に驚くと同時に、中国の男の子たちが「小気」と言われるのをとても嫌がっていたのを思い出した。

中国人は非常に面子を重視する。特に男性はそう。例えば男性と女性が食事したら、男性が払うのが普通。7歳下の中国人クラスメイトの男の子と食事したとき、奢ろうとしたら、
「僕に面子をくれないの?」
と、ものすごく嫌がられたことがある。ここは自分に払わせて、面子をたててくれということだ。彼が背伸びしているのがちょっとおかしかったが、若いのにやっぱり「男の子」なんだなぁ...と思った。食事代に限らず、一緒にタクシーに乗ったり、遊びに行ったりしたら、恋人同士じゃなくてもお金は男性が払う。中国人曰く、たとえお金がなくても、面子があるので、ワリカンなんて「小気」なことは男性からは、絶対に言わないのだそうだ。

中国の男の子は、なかなか謝らない。どうしようもなく取り返しのつかないことをしてしまったときは別かもしれないが、ちょっとした間違いや迷惑をかけたくらいでは、謝罪はしない。彼ら曰く、それも「面子」なのだそうで・・・。

韓国滞在中に、中国人同士のけんかが原因で数人が入院したことがあった。お見舞いに行き、けんかの原因を尋ねると、包帯でぐるぐるまきにされてベッドに横たわった友人は悔しそうに、
「だって、あいつら俺のことを『小気』って言ったんだ」
と言った。そのときは、「えっ、そんなことで?」と思ったが、彼らと長く接するうちに、
面子を重視する彼らにとって「小気」は、大変プライドを傷つける言葉なのだと知った。

この中国人特有の「面子」を重んじる文化というのは、日本人にはなかなか理解し難く、よくわからないうちは、面子をつぶしてしまうことがある。日本人は「礼儀」を重んじる民族で、日本では礼儀を欠く人、「失礼な人」が嫌われる傾向にあるが、中国では「ケチ」な人が嫌われ、「ケチ」と言われることを気にする人が多い。

考えてみたら、日本人は物事に細かく、神経質で、支払いもワリカンだったり、他人のものと自分のものをはっきり区別して使うので、中国人から見たら、「ケチ」にあたるかもしれないな...。


第41回 不要放香草!(パクチー入れないで!)

私が中国に行って初めて覚えた中国語は、「日本(リーベン)」でもなく「対不起(ドェブチー/すみません)」でもなく、「不要放香菜(ブヤオファンシャンツァイ)」だった。意味は、「パクチー入れないで!」

そう、タイ料理やベトナム料理によく入っているアレ。中国パセリ、コリアンダーとも呼ばれ、中国語では香菜(シャンツァイ)という。中国東北料理にはよくこの香菜が入っている。炒め物にも、煮物にも、涼菜(リャンツアィ)と呼ばれる中国サラダにも、麺のスープにも...。

これとの出会いは、今でも忘れられない。今まで嗅いだことのない強烈で特殊な臭い。Wikipediaで調べたら、「パクチーは、カメムシのような風味であると評される」と!!カ、カメムシ・・・。食べたことある人いるんでしょうか!?

香菜は恐ろしい。しいたけと同じ、いやもっと強烈で、ほんの微量入れただけで料理がその味に染められてしまう。「香菜炒肉(シャンツァイチャオロウ)」という料理が留学先の大学近くの食堂にあったけど、それは本当にその字のまま、シンプルに香菜と肉を炒めたもの。もう香菜の味しかしない。肉のジューシーさを感じることが全くできない・・・。それでも、熱を通していればまだましで、味も臭いも半分くらいになるが、涼菜などに生で入っている場合は、顔を近づけただけでもその臭いがする。外国人の中には、この香菜を苦手とする人が多い。韓国や欧米のクラスメイトも、大半は好んでは食べなかった。(※稀に、香菜が大好きだという人もいますが)

そういうわけで、私も最初香菜がだめで、このままでは何も食べられない~命に関わる!と思い、必死で初心者には難しい「不要放香菜(ブヤオファンシャンツァイ)」を覚えた。
昔上海の領導(リンダオ/政治のリーダー)が、香菜が食べられるか食べられないかで、外国人が中国の生活に適応できるかが決まると言ったらしいけど、そのとおりかも・・・。東北地方にいる限り、香菜との付き合いは避けられない。「不要放香菜(パクチー入れないで)」と言っても、スープや、涼菜などあえ物の場合はなど作りおきのものでは、調理の段階で入れられていて、取り除くのが不可能だし。

ところが、毎日食事のたびに香菜に出会うち、あれ、そんなに臭くないんじゃない?と思うようになり・・・、南に行って香菜が料理に入っていないと、何で入ってないの?ちょっとくらい入っててもいいんじゃない?と思うようになった。(南の人は香菜は食べません)今は大好きっていうわけじゃないけど、普通に食べられる。何でも慣れなのかもしれない。中国人留学生の中に、納豆が最初どうしてもだめだったけど、今は大好きというひとが結構いるので、それと同じかも。

でも、北京の日本料理店で、うどんやそばに香菜が入っていたのには驚いた。これはちょっと合わないんじゃないの?と思いながら食べてみたら、意外に美味しかった。普通の日本人にはうけないかもしれないけど...、すっかり味覚が中国人化してしまったらしい。

香菜は、身体にはすごくいいみたい。食べたことのない方は、一度お試しあれ!!


第40回 これはホンモノですか!?

中国からの観光客の通訳に付くと、大型家電量販店に連れて行って欲しいと頼まれることがよくある。電化製品の「日本ブランド」は、中国でも韓国でも依然として健在で、旅行に来たついでに、日本の電化製品を安く買いたいと思っている観光客は多い。(量販店で電化製品を買うのが旅行の最大の目的という観光客もいるかもしれない)

観光客を市内の大型量販店に連れて行くと、見やすい店内と商品の充実にまず驚くようだ。そしてよく言われるのが、
「こんなに商品があるけど、全部ホンモノなの?折角日本に来たんだから、ホンモノが欲しいんだよね」
・・・。日本では、こんなにおおっぴらにニセモノ売ってませんから・・・。中国では日本ブランドのニセモノが多いので、こういう質問が出るのも頷けるが。

欲しいものが見つかると、値段交渉をしようとする。中国では、買い物は値切るのが普通なので、日本でもそうするものだと思っている。
「この値段からどのくらい下がるか聞いてくれ」
と言われるが、日本は定価で買うのが普通なので、表示の価格から安くしてもらえることはあまりない・・・。下がらないですよ、というと、どうして下がらないんだ、と自分で英語で交渉する頑張りやさんもいる。結果は変わらないんだけど・・・。

そして支払いのときになって、商品の箱を出してもらうと、店員さんの手から箱を奪って、商品を中から取り出し、細かく中身を確認。
「ホンモノだから、大丈夫ですよ」
と一応言ってはみるのだが、念には念を入れているようだ。中国では、買ったばかりのものが、家に帰って開けてみたら壊れていたりすることがあるので、気持ちはよくわかる。店員さんはちょっとびっくりしているけれど・・・。

包装するときも、手を出そうするので、
「ちゃんと包装してくれるので、大丈夫ですよ。」
と言う。心配そうに見ているが、綺麗に包装された商品が手渡され、笑顔になるのを見て、私もほっとする。通訳なしで買い物に来たら、ちょっと大変かもしれないなぁ・・・と思ったりもする。

私が付き添った中では、デジカメ、デジタルビデオカメラが人気だった。みんな高価なものをばんばん買っていくのでびっくり。数十万するものもあった。中国の景気の良さが、こんなところでも垣間見えるのだった。


第39回 味にはウルサイ!?

中国や韓国では食堂で食事して、残ったら包んでもらって持って帰ることができる。私も、食べ切れなかった時はよくそうしていた。(中国では、一品の量が多いので残ることが多い。)
日本のレストランでは、衛生上の問題や規則上難しいが、中国韓国のこの習慣は、ものを無駄にしないという観点からはいいことだと思う。

中国や韓国では、たとえばしょっぱすぎる、辛すぎるなどで味付けが気に入らなければ作り直してもらえる・・・というか、そう要求する人が多い。中国にいたときレストランで、「この料理はひどくしょっぱかったから食べられない。この分のお金は払わないよ」と言っている人を見た。店長とちょっと言い合いになっていたが、結局店長はお客さんに譲り、代金は受け取らなかった。日本では警察沙汰になるに違いないが・・・。

中国にいるとき、いきつけのレストラン(普通の食堂。高級レストランではありません。)が何軒かあったが、美味しいんだけど、味が毎回違う気がしていた。味が安定していないというか・・・、日本にいる中国人の留学生に聞いたら、中国の中華料理は日本料理のように細かく分量を量ったりはあまりしないということだった。私も、料理がしょっぱすぎる・・・と思うようなことがあったけど、作りなおしてくださいとか、お金は払いませんよということはやっぱり言えなかった。

おととし、中国福建省アモイで、アモイの友人と東北料理の店に入ったときのこと・・・
「まずっ!なにこのチャーハン、ご飯固まりすぎじゃない?」
友人は、私が止めるのも聞かないで、店員に文句を付け始めた。
「ちょっと~、このチャーハン固まってて、味がしない。食べられないよ」
「うちのチャーハンは、みんなこんなだよ。嫌なら食べるんじゃないよ」
「何ですって?じゃ、もういらないわ。」
「文句があるなら、もう来るんじゃないよ」
「話にならないわ。カコ、帰るよ!」
友達は、お金をばさっと机に置くと、まだもぐもぐやっている私を置いて、すたすた店を出て行ってしまった。

あとで詳しい方に聞いたら、中国東北地方のお米は日本と同じ種類のお米で、水分をたくさん含み粘り気があるので、チャーハンにすると固まってしまうのだそうだ。東北地方のハルビンに留学していたことのある私は、抵抗なく食べたのだが、タイ米を好む南方のアモイ人は、それが苦手だったようで・・・。

どうしても水餃子が食べたくて、東北料理の店に連れていってもらったのだが、(中華料理として有名な水餃子は東北料理であり、南方ではあまり食べられていない。)メインを食べる前に店から追い出されてしまった・・・。残念。


第38回 土砂降りだ!

韓国滞在中のある日。韓国の中国人街のさわやかな朝・・・のはずが。夢の中でまどろんでいたら、なんだか頬のあたりが冷たい。

目を開けてみたら、ありえない・・・。家の中に雨が降っている。雨漏り、というか土砂降り。天井から雫が、すごい勢いで落ちてきていた。
「ぎゃぁ~~~~!!!」
ルームメイト全員をたたき起こす。布団はべちゃべちゃ、壁もふやけている。

韓国の家は立て付けが悪く(高級マンションは別です)、雨漏りがひどいことが多かった。新築一ヶ月でも、雨漏りがある場合も・・・。いつも決まったところから漏れてくるので、即バケツなのだけど、このときはバケツで対応しきれないくらいひどかった。

ルームメイトたちは飛び起きると、大慌てで本や電化製品など濡れたら困るものを避難させた。 土砂降りの原因は、大家さん上の階からホースで水を撒いてアーパート中の階段と廊下の掃除をしたからだったのだが・・・、そんなことで水漏れするようじゃ、大雨の日はどうするんだ!?今後掃除の度に大雨降るんか!?と、不安になる。

ルームメイトたちは、みんな怒り心頭だったが・・・韓国語ができないのでいつも代表で文句を言うのは私。
みんなで連れ立って階段を上がり、鼻歌交じりに床を磨いている大家さんのおばちゃんに一言。
「天井からすごい勢いで水漏れてきたんですけど」
「あ~、水撒いて掃除してたからだね。もう終わったから大丈夫!」
「布団とか家の中のもの濡れたんですけどー」
「じゃそのへんに干しときな。盗られたら困るなら屋上に干せば」
(治安が悪いので、外に物を置いておくとよく盗まれるのです)

みんなおばちゃんに対してブウブウ言っていたが、しょうがなく部屋に戻る。家を修理するとか、そういう話はないのか・・・。 謝罪の言葉は最後まで聞けなかったし・・・。

とりあえず「雨」がやんだので、雑巾がけして、布団を干して、ぬれてない毛布を出してきて床にひいて・・・、もう一度寝た(笑)。みんな夜勤あけで疲れていたのだ。

布団に入りながら、
「中国でもよくあることよー。しょうがない。」と、誰かが言った。
日本ではあまりないけど・・・。万が一同じことが起こったら、補償問題でたいへんなことになるだろうし。彼女たちの寝息を聞きながら、彼女たちも絶対に謝らない大家さんのおばちゃんもたくましいこと・・・と思った。


第37回 コワレタ日本語

母国語の日本語をある一定の期間、ほとんど使わないで生活したことがある。韓国に滞在中、中国人と暮らし、家の中では中国語の北京語&福建語、外では韓国語という生活をしばらくしていた。そんな生活を続けていると、どうなるかというと・・・、
 
■ 簡単な日常会話には問題ないが、日本語の本や新聞ニュースに触れないので、文章語や難しい外来語がすぐに出てこない。語彙が大幅に減る。
■ 日本のTVを見ないので有名人(政治家や芸能人等)の名前が思い出せない。のど元まで出掛かっているのに、出てこないというもやもやした状態が続く。韓国の友人に、韓国で映画やドラマに出演している中村徹の名前を聞かれて、思い出すのに3日かかった。 
■ 単語が思い出せないので、会話に指示語が増える。たまに日本人と話すと「あれさー、そうそれそれ」などと連発している自分に気づく。
脳と口のつながりが遮断されてしまったかのように、言いたいことがスムーズに出て来なくなる。

そんな環境にいるときに、久しぶりに日本人のクラスメイトから電話がかかってきた。
「カコ久しぶりー!今何してる?」
「蒸しケーキ作ってた。乾いたブドウ入りの」
「は?乾いたブドウ?ブドウ乾かしたの?」
「違う、えーと、あ、日本語ではレーズンだったっけ。久しぶりに会いたいね、今度イタリアの麺でも食べに行こうよ」
「は?イタリアの麺てあるの?」
「ほら、あの・・・、学校の近くにある、あれあれ~。」
「パスタ屋さんのこと?」
「そうそう!!!」
「・・・。ところで、中国人の○○ちゃん元気?」
「彼女ね~、最近親戚が亡くなって、すごくがっかりしてるんだ・・・。」
瞬間、友達は大爆笑。
「カコ・・・あんた、日本に帰ったほうがいいわ!さっきから日本語ほんとにおかしいよ。親戚死んだら、普通『がっかり』どころじゃないんじゃない!?」

極端だけど、実話です・・・。中国語でレーズンは「葡萄干」つまり、ブドウを乾かしたもの。スパゲティは「意太利面(イタリアの麺)」と呼ばれている。それを日本語になおしたつもりで、「乾いたブドウ」「イタリアの麺」などと言っていたのだった。あまりにも日本語から遮断された生活を送ると、こんな簡単な外来語でさえも出てこなくなる。友達の親戚が亡くなって、ひどく悲しんで元気がないことを表現しようと思ったのに、「がっかり」という単語以外頭にうかばないし・・・。

言葉というのは母国語でさえも、使わない環境にあると忘れてしまう。何年も時間をかけて覚えたのに、忘れるのはあっという間。だから帰国してしまうと、留学中の語学レベルを保つことは更に難しい。維持するには、日々努力あるのみだ・・・。


第36回 お・ね・が~い!!!

韓国にいるとき、クラスメイトの中国人の男の子に頼みがある、と言われ・・・
「明日、作文の試験あるじゃん、俺さ、アルバイトで書くひまないんだわ。だから原稿代わりに書いてくれよ」
あまりにずうずうしいお願いに一瞬聞き違いかと思い、頭のなかでもう一度彼が言った中国語を日本語に訳し直て、おそるおそる聞き返す。
「明日の試験の準備を私にしろっていうことじゃないよね?」
「もちろんそうだよ。俺は時間が無いからカコに頼んでんだよ。悪いけどさ、頼むよ」
「あのねぇ、あたしは自分の準備もしなきゃなんないんだよ。それに明日はちゃんとしたテストだよ。あたしがあんたの代わりに書いても意味ないでしょ」
「頼むよ。俺が書いたんじゃ中級に上がれないんだよ。助けてくれよ」
「人が書いたもんで進級してどうすんのさ。悪いね、手伝えないよ」
彼はあきらめて去っていった。

 私は、この手の頼みごとには慣れつつあった。中国人は友達同士なら気軽に物事を頼む。ちょっと努力すれば自分でもできそうなことでも、友達が解決してくれそうなら友達を頼る。仲が良ければ良いほど、頼みごとの程度も大きい。それで別に相手も気を悪くしたりはしないし、できないならできないとはっきり断る。逆にいえば自分が頼まれることもあるわけで、そのときはできる範囲で友達のために骨を折る。親しい仲に遠慮はいらないということなのだ。

 ある日授業が終わって帰り際に、仲良しの玲燕(リンイエン)が私を呼び止めた。
「前の学校の日本人のクラスメイトに手紙書きたいんだけど手伝ってくれる?」
玲燕は以前にソウル市内の他の大学に通っていた。
「いいよ」
と安請け合いしたが、玲燕は
「んじゃ、頼んだよ。バイバイ」
と言って帰ろうとする。
「ちょっと待って。いつ書くの」
手伝って、と言われたので、私はてっきり玲燕と一緒に書くのだと思っていた。
「いつでもいいよ。時間あるときで」
「あのう、もしかして私が全部書くの?」
「もちろんそうだよ。私は書くの苦手だから、カコに頼んでるの」
「だけど、私その人のこと何も知らないんだよ。何書けばいいか分かんないし」
「気にしないで。好きなこと適当に書いてくれればいいよ」
彼女は日本語でも韓国語でもいいからねと付け加えると帰っていった。日本人同士ならあり得ない頼みごとの内容にしばし呆然としていたが、やることになった以上仕方が無く、家に帰ってすぐに便箋を広げた。相手の名前以外に何も情報が無いので、書けることがない・・・。

「元気ですか、寒くなりましたね、私は元気です、今初級クラスで勉強しています......。」
どんなに考えても便箋の一枚の半分をうめるのがやっとだった。それでも、翌日玲燕に渡すと、彼女は「いいの、いいの。早かったね」と言って喜んだ。
 
また違う機会に述べことにするが、彼らとともに過ごした間、私は実に様々な頼みごとをされる。日本人同士なら、相手に迷惑がかかると考え、なかなか面倒な頼みごとはしないし、自分でできることで人を頼ることはあまりないので、中国人の習慣を理解し、できないことははっきり断れるようになるまで、かなり時間がかかった。日本人は「断る」こともニガテなのだった・・・。

未だに私はよっぽどのことが無い限り中国人の友達に、頼みごとができないでいる。気にしないで何でも頼んでいいんだよ、彼らは言うけれど・・・。やっぱり私はどこにいても日本人なんだなぁと思う。

第35回 私の彼氏は、優しくてイケメン

中国人の友達麗麗(リリ)と、日本人の友達M子とランチしていたときのこと。麗麗は、M子の新しい彼氏について興味津々で尋ねた。
「M子の彼氏ってどんな人?イケメン?」
「全然。カッコよくないほうだよ。」
「頭いい?お金持ち?」
「別によくないよ。お金も特にないよ」
「じゃ、優しいとか?」
「そんなことないよ。普通」
麗麗は納得いかないという顔をして言った。
「じゃあ、いいところないじゃん。なんでM子はその人と付き合ってんの?」
M子は謙遜のつもりでそう言ったというのが私には分かっていたので、思わずM子と顔を見合わせる。

中国人と話していると、
「うちの息子は、とびきりイケメンなのよ~」
「私の娘は頭がよく、大変気立てがいい」
「ぼくの妹は、美人ですごくモテるんだよ」
などと、身内をほめちぎる言葉をよく聞く。

それから、驚いたのが下の一言。
「たくさんの男の子が、私のことを好きなの~」
友達にそう言われたとき、「この子大丈夫かな」と、ちょっとひいてしまったが・・・。その時周りにいた中国人の反応は、特に驚くようなことを聞いたという感じではなかった。

謙虚であることが美徳な日本人なら自分や身内をほめたり、自慢するようなことはあまりないので、最初はオドロキの連続だったが、中国人はメンツを重視するためか、堂々と上記のようなことを言ってのけることがある。

中国に進出している大手日系企業の社長さんに話を伺ったことがあるが、求人情報を見て面接に来た中国人は、初級レベルの日本語しかできなくても、「日本語ができます」と胸を張って言う人が多いという。それで、いざ日本語の新聞を朗読させてみると、ほとんど読めない。逆に日本人は、たとえ英語がビジネスレベルの域でも、謙遜して「困らない程度にはできます」「得意というわけではありませんが、そこそこできます」などと言う。社長さんの話では、面接官が中国人だった場合は、そのような表現をすると、自信がなくてそのような表現をすると思われて落とされることがあるという。

これも根本的な考え方の違いだが、中国人には日本人の言動は、必要以上の謙遜で卑屈にすら思えるかもしれない。麗麗がM子が言ったことに対して疑問に思うのも納得がいく。麗麗が、
「私の彼氏はね、すっごく優しいの。背も高いしね。顔もイケメンだよ。今度紹介するね」
と、全く悪気なく満面の笑みで言ったので、私とM子は再び顔を見合わせて苦笑いした。