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第10回 北海道ブランドの、強さと脆さ

北海道のみなさん、こんにちは。

食の王国・北海道のブランドイメージを傷つける事件が、また起きてしまいました。
石屋製菓「白い恋人」の賞味期限改ざん問題です。
でも、この事件、連日、マスコミで大きく取り上げられている割には、深刻さが希薄に感じられる気がします。
なぜなのでしょう?
この種の事件に、慣れてしまったから?
もともと北海道限定商品だから、あまり切実に感じられない?
それもあるでしょう。でも、一番の原因は、年間数十億とも言われる、売り上げの数字の大きさに反して、「白い恋人」には、ほんとうのファンが根付いていなかったからではないか?ぼくには、そう思えます。
そして、この事件、どこか意外性がないのです。
さして根拠はないけれど、「やっぱりな」という思いで受け止めている人は多い気がします。
この商品の背景に、なんとなくそういうことが起こりそうな気配のようなものが漂っているのです。

「白い恋人」を支えていたのは、お土産としての商品価値でした。
長い間、千歳空港はもちろんのこと、北海道のどの空港の売店でも、一番目立つ存在でした。
でも、この商品にどれくらいのオリジナリティーがあったのかと言えば、ちょっと疑問が残ります。
ラングドシャにホワイト・チョコレートをはさんだのは、確かにアイデアでも、ヨックモックはじめ、類似の先行商品が存在します。
それに、「白い恋人」が、フランス映画「白い恋人たち」(1968年・グルノーブル冬季オリンピックの記録映画)からヒントを得たネーミングであることは、ある程度の年代の人ならすぐにわかることです。
どちらも、別に悪いことでもなんでもないのですが、どこかアイデンティティーの希薄な感じがします。
つまり、「白い恋人」という商品に、かけがえのなさが、もうひとつ感じられないのです。

それなのに、なぜ、「白い恋人」は、ここまで売れたのでしょう?
「北海道のブランド・イメージ」を、上手に商品化したから、としか言いようがありません。

でも、不思議なことに、「白い恋人」は、「北海道限定」をうたいながら、北海道に根付いていない感じがします。
お土産としては確かに人気があっても、北海道の人に愛されていたというイメージがないのです。
そして、「北海道のブランド・イメージ」で売ってはいるけれど、いわゆる「郷土の名産品」などと違って、老舗イメージや、その土地の歴史に縛られていない、軽さを感じます。
自由な感じがします。

この、根付かない感じ、何ものにも縛られない軽さ・自由さは、まさにここでぼくが言ってきた「ニュートラル」そのものです。
「白い恋人」は、一方で「北海道のブランドイメージ」を巧みに取り込み、もう一方で、なんとなくそれに縛られてもいない軽さ、自由さがありました。
そこに、北海道のお土産としての「わかりやすさ」「親しみやすさ」がありました。
でも、それは本当のところ、その土地や人の心に根付いていた人気とは、違う。
発売から30年もたって、北海道土産として不動のダントツ首位の人気を誇りながら・・・。

その強さと、もろさ。
「北海道のブランドイメージ」とは、なかなかデリケートなものだなぁとあらためて思います。


(2007年08月23日)

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