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第六回 思い込みCMは、もう古い?

北海道のみなさん、こんにちは。

話は、突然、京都に飛びます。
昨年、ぼくは「通り庭」をテーマにCMを作りました。
通り庭というのは、日本の伝統的な商家である町家のなかにある土間のことです。
そして、町家と言えば、京都。でも、それではあたり前すぎる。
ということで、近江八幡や奈良の五條市、今井町などをロケハンしたのですが、
ちょっと物足りなく感じました。
もっと典型的な、いまの暮らしに活かされている町家を、描きたいと思いました。
そこで、満を持して、京都をロケハンすることにしました。
京都なら、選り取り見取り。保存状態がよくて、いまも人々が暮らす町家には困らないだろう。
ぼくは、そう思いました。

でも、結果は、惨憺たるものでした。
京都にこそ、もう町家は残っていませんでした。
わずかに残る町家は、もぬけの殻の、重要文化財扱い。
他は、外観だけを残して、中はすっかり改装され、飲食店や商店などに様変わりしていました。
そればかりか、外観だけの町家を取り巻くのは、マンションや商業ビル。
そこに、誰もが思う、「なんでもない、古き良き京都の町角」は、もうありませんでした。

京都は、いつ、こんな姿になってしまったのか?
ぼくは、愕然としました。
しかし、よく考えたら、いまも変わらぬ京都の町角が残っているなんて、
ぼくの思い込み以外の何ものでもないのです。
その、ぼくの思い込みは一体、どこから来るのか?

そう考えた時、東京に住む人にはなじみのある、
JR東海によるキャンペーン「そうだ 京都 行こう。」を思い出しました。
1993年から、10年以上の長きにわたって、
さまざまな京都の名所旧跡を取り上げてきた、すばらしいキャンペーンです。
テレビのブラウン管を通して、四季折々に美しいお寺や神社を見て、
ぼくのなかには、すっかり「いつまでも変わらぬ京都」が刷り込まれていました。
でも、実際に変わっていなかったのは、名所旧跡の類で、
「なんでもない、古き良き京都の町角」は、見る影もなく変貌を遂げていたのです。

北海道と言えば、大自然と、新鮮な、おいしい食材。
京都と言えば、いつまでも変わらない、美しい古都。

どちらも間違いではないけれど、何の疑いもなく、過去に刷り込まれたイメージや、
思い込みを利用して作るCMというものには、決定的に欠けているものがある。
それは、言わば、批評精神とでも言うべきものです。
そして、先入観を捨てて、いまの北海道、いまの京都を伝えようとする姿勢です。

マス・メディアで流れる、大量生産され、大量消費される商品のCM。
メジャーな企業の、イメージアップのためのCM。
そこでは、なかなか、新しい北海道、変わり行く京都の姿をとらえることは難しい。
そこにいま、ぼくは、なんとなく「CMの限界」のようなものを感じるようになりました。
もっと言えば、あまりにも月並みなパターンで、過去に刷り込まれたイメージや思い込みを利用しようとする広告や企業には、
ちょっと注意が必要だとさえ、最近、ぼくは思っています。

結果的に、奈良の五條市と今井町でロケしたCMは、こちらで↓ご覧になれます。
http://www.daiwahouse.co.jp/ad/cm/nara.html
JR東海の「そうだ 京都 行こう。」のCMは、こちらのYou Tube↓でご覧になれます。
http://www.youtube.com/watch?v=HXtT7s9jnY8


(2007年07月26日)

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