北海道のみなさん、こんにちは。
話は、突然、京都に飛びます。
昨年、ぼくは「通り庭」をテーマにCMを作りました。
通り庭というのは、日本の伝統的な商家である町家のなかにある土間のことです。
そして、町家と言えば、京都。でも、それではあたり前すぎる。
ということで、近江八幡や奈良の五條市、今井町などをロケハンしたのですが、
ちょっと物足りなく感じました。
もっと典型的な、いまの暮らしに活かされている町家を、描きたいと思いました。
そこで、満を持して、京都をロケハンすることにしました。
京都なら、選り取り見取り。保存状態がよくて、いまも人々が暮らす町家には困らないだろう。
ぼくは、そう思いました。
でも、結果は、惨憺たるものでした。
京都にこそ、もう町家は残っていませんでした。
わずかに残る町家は、もぬけの殻の、重要文化財扱い。
他は、外観だけを残して、中はすっかり改装され、飲食店や商店などに様変わりしていました。
そればかりか、外観だけの町家を取り巻くのは、マンションや商業ビル。
そこに、誰もが思う、「なんでもない、古き良き京都の町角」は、もうありませんでした。
京都は、いつ、こんな姿になってしまったのか?
ぼくは、愕然としました。
しかし、よく考えたら、いまも変わらぬ京都の町角が残っているなんて、
ぼくの思い込み以外の何ものでもないのです。
その、ぼくの思い込みは一体、どこから来るのか?
そう考えた時、東京に住む人にはなじみのある、
JR東海によるキャンペーン「そうだ 京都 行こう。」を思い出しました。
1993年から、10年以上の長きにわたって、
さまざまな京都の名所旧跡を取り上げてきた、すばらしいキャンペーンです。
テレビのブラウン管を通して、四季折々に美しいお寺や神社を見て、
ぼくのなかには、すっかり「いつまでも変わらぬ京都」が刷り込まれていました。
でも、実際に変わっていなかったのは、名所旧跡の類で、
「なんでもない、古き良き京都の町角」は、見る影もなく変貌を遂げていたのです。
北海道と言えば、大自然と、新鮮な、おいしい食材。
京都と言えば、いつまでも変わらない、美しい古都。
どちらも間違いではないけれど、何の疑いもなく、過去に刷り込まれたイメージや、
思い込みを利用して作るCMというものには、決定的に欠けているものがある。
それは、言わば、批評精神とでも言うべきものです。
そして、先入観を捨てて、いまの北海道、いまの京都を伝えようとする姿勢です。
マス・メディアで流れる、大量生産され、大量消費される商品のCM。
メジャーな企業の、イメージアップのためのCM。
そこでは、なかなか、新しい北海道、変わり行く京都の姿をとらえることは難しい。
そこにいま、ぼくは、なんとなく「CMの限界」のようなものを感じるようになりました。
もっと言えば、あまりにも月並みなパターンで、過去に刷り込まれたイメージや思い込みを利用しようとする広告や企業には、
ちょっと注意が必要だとさえ、最近、ぼくは思っています。
結果的に、奈良の五條市と今井町でロケしたCMは、こちらで↓ご覧になれます。
http://www.daiwahouse.co.jp/ad/cm/nara.html
JR東海の「そうだ 京都 行こう。」のCMは、こちらのYou Tube↓でご覧になれます。
http://www.youtube.com/watch?v=HXtT7s9jnY8
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