北海道のみなさん、こんにちは。
ぼくが初めてニュージーランドへ行ったのは、確か、1984年。
サントリー・モルツが、初めて世に出た時の、CM撮影のためでした。
当時はまだ、ニュージーランド・ロケと言えば、広大な牧場か、たとえばミルフォードサウンドのような、ダイナミックな自然の風景を求めて行くのが主流でした。
いかにもニュージーランドらしい、「特別な風景」が求められたのだと思います。
それが、1980年代後半から1990年代にかけて、木立や広々とした草原や畑のある、自然で気持ちのよい「普通の風景」が、ニュージーランドに行けば探せると、みんなが認めるようになって行きました。
つまり、ぼくらが、北海道に求めるような風景を、日本が冬の間、ニュージーランドに求めて撮影しに行くようになったのです。
ちなみに、ニュージーランドの面積は、日本とほぼ同じ。
ご存知のように、ニュージーランドは、北島と南島とからなり、形の上では北海道と本州に似ていなくもないですが、自然や気候が北海道に似ているのは、本州のような形をした南島の方です。
最初、ぼくには、北と南の違いもよくわからなかったのですが、自分の好きな風景があるのは南島の方だということは、すぐにわかりました。
広々とした牧場と農地、それを取り囲む美しい山並み、その間をぬって流れる大小さまざまな川、透明な水をたたえた湖。
梅雨こそありませんが、四季折々、自然の変化があるのも、まるで日本のようです。
なんて美しい自然なんだろう!
ぼくは、しばらくの間、単純にそう思っていました。
しかし、何度かニュージーランドへ行くうちに、もしかしたら、ニュージーランドこそ、かつて大規模な自然の改造(つまりは、自然破壊)がなされた国なのではないかと、ぼくは思うようになりました。
言うまでもなく、もともとニュージーランドに牧場があったわけではありません。
そして、よく見ると、イギリス人が、長い年月をかけて植林した樹木と、ニュージーランドのネイティブな樹木とが、入り混じっていているのがわかります。
人は、そこに緑があると「自然な風景」だと思いがちです。
でも、農地や牧場は、人が食料を確保するために自然を作り変えた結果できたものだし、本来の「自然な風景」とは違います。
そして、ニュージーランドの風景は、どこか無国籍です。
ヨーロッパの田舎のようにも、日本の田舎のようにも見えます。
典型的な日本の農村の風景と言うには無理がありますが、撮影する上で、少なくとも、北海道の代わりにはなる風景です。
主に、緑の風景を求めて、ニュージーランドへ行き、北海道へ行くうちに、ぼくのなかに、「北海道はニュージーランドにとてもよく似ている」という感覚が定着しました。
それを、ぼくは、どちらも「とてもニュートラルな風景だからだ」と考えています。
自然と共存した先住民族の存在、それゆえ残されたネイティブな自然、入植した人たちが作り変えた自然(広大な農地や牧場など)と、彼らが持ち込んだ樹木。
それらが、微妙なバランスを保ちながら作り出している、無国籍な風景。
つまり、どこにも属さない、ニュートラルな風景が、そこに広がっている。
ぼくには、そう思えるのですが、どうでしょう?
ちゃんとした検証抜きに、直感的に言っているにすぎないのですが、北海道のみなさんはどう思われますか?
<先日北海道で撮影したばかりのCMが、今度の週末、日テレ24時間テレビの中で以下の時間帯にオンエアーされます。8月18日午後9時30分からのスペシャルドラマで、19日午後4時台と8時台の萩本きんちゃんがゴールインするシーンあたりでの3回流れます。ぜひご覧ください>
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第9回 なぜニュートラルか?
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