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第90回 ビートルズを聴きながら、いまを考える。①

北海道のみなさん、こんにちは。

最近、またビートルズを聴いています。
もう、ビートルズ・ボックスが、楽しくて、楽しくて。
ビートルズがスタジオ録音した、全13枚のアルバムを、
デジタルで録音し直した、あれです、あれ。

どのアルバムが好きか?
なんて話をしはじめると切りがないのですが、
やっぱりサージェント・ペッパーズが、際立っています。

時を経て聴いてみると、何よりも、
「楽しかっただろうな」と思うのです。
この頃、すでにバンドとして
ステージに立つことを止めていたビートルズが、
「ステージで演奏できる曲」という呪縛から離れて、
スタジオ・レコーディングに専念する。
思う存分、スタジオにこもって、
とにかく、かつて誰もやったことがない音作りをする。
ライブで演奏できなくたっていい。
マルチレコーディングや(と言っても、
まだ当時は4トラックしかなかったようですが)、
音の逆回転や、テープ編集や、
アルバム自体にテーマ性を持たせること
(つまり、コンセプト・アルバムにすること)。
あっという間に「常識」になった、
そのひとつひとつのことを「発見」して行ったプロセス。
それが、サージェント・ペッパーというアルバム。
そして、そのアルバムを作ることに、
だれよりもビートルズのメンバー自身が、
ワクワクして楽しんでいた様子が、目に浮かぶのです。
その結果として、LPレコードという
音楽メディアとスタジオ録音の可能性が、
これ以上画期的で、幸福な結果をもたらした例は、
音楽史上、ないと思うのです。
テクノロジーと創造性が、
うまく結びついて、新しい表現を生み出す。
それこそが、20世紀の音楽産業で成功するということ。
そして、ビートルズのサージェント・ペッパーズは、
もっとも華やかな成功例だったのではないでしょうか?

ビートルズを聴きながら、
(つまり、20世紀のポップミュージックと
録音技術の、進化の過程を追いかけながら)
いまはどうなのかなぁ?
と、ぼんやり考えてしまいます。
テクノロジーと創造性が、うまく結びついて、
新しい表現を生み出しているだろうか?と。

ある部分、答えは、イエス。
やっぱり、通信技術でしょう。
インターネットでしょう。
そして、そう・・・時代は、デジタルですよ、デジタル。

その進化が、確かに、新しい表現を生み出しています。
たとえば、音楽で言うなら、いまや、多重録音どころか、
無限に音を重ねて行くことが可能です。
楽器ひとつ鳴らさなくても、
コンピューターだけで音楽はできるし、
どんなに下手な歌や演奏でも、
後でなんとでもなってしまいます。
テクノロジーという面だけで言うなら、
表現の可能性は飛躍的に拡張しました。
音楽を聴くことは、コンピューター抜きに、
考えられなくなりました。
インターネットで音楽を「買う」ことも、いまや日常です。

でも、そのことに、ぼくら、ワクワクしているだろうか?
それは、ミュージシャンの創造性を刺激しているだろうか?

いや、音楽界だけの問題ではありません。
映像産業、そのなかのCM制作にだって、
同じ問いは、向けられるべきでしょう。
テクノロジーと創造性が、うまく結びついて、
新しい表現を生み出しているだろうか?と。

う〜ん、楽しくビートルズのことを書きはじめたのに、
難しい話になっちゃいました。
でも、もうちょっと、しつこく考えてみたいと思います。
ビートルズを、聴きながら。


(2009年09月24日)

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