北海道のみなさん、こんにちは。
先月の末に、取材を兼ねて行った、
石川県・輪島市は、言うまでもなく、
輪島塗で有名なところ。
古くから漆器を製造・販売されている方が、
こうおっしゃったのが、まだ耳に残っています。
「輪島という土地柄と、
輪島の人たちの気質がなかったら、
輪島塗は生まれなかったでしょうね。」
能登半島にある輪島は、交通の便が悪く、
金沢や七尾に比べても、電車、電気が通じるのに、
かなり遅れをとった「閉ざされた町」だったようです。
そして、辛抱強い輪島人の気質があって、
丈夫で完成度の高い輪島塗は、
早くから全国的に有名になっていったようです。
つい数日前、山梨県・北杜市で見たのは、
故・木村二郎さんの回顧展。
木村さんは、1989年に、
大阪から山梨県・長坂に移り住んで、
主に古材で、多くの家具やオブジェを制作しましたが、
惜しくも2005年、膵臓癌でなくなりました。
それ以前に住んでいた大阪を離れ、
バブル経済に湧く都会に一定の距離を置き、
縄文土器のかけらを集めながら、
古民家から出る廃材で、
作品とも家具とも言いがたいモノを作る。
廃園になった幼稚園を改造して作ったギャラリーには、
都会から、多くのアーチストが引き寄せられて、
作品を発表する場になりました。
東京から長坂までは、電車でも車でも、一時間半。
絶妙な距離感だった気がします。
先日、札幌のハンズビーで、
ぼくが制作したシャボン玉石けんのCMを
流してくださった大垣郁子さんにお会いしました。
お土産にいただいたのが、なんと、石けん。
「北海道で生まれた石けんもあるんですよ」と、
言ってくださったのは、
アズキ石けんと、ヤギのミルク石けんでした。
製造販売元には「GEL-Design」とあり、
後で調べてみたら、「北海道大学の研究成果をもとに
商品開発するベンチャー企業」とわかりました。
アズキに、ヤギのミルク。
北海道ならではの素材を生かした石けんに、
ちょっと、うれしくなりました。
輪島塗、木村二郎、GEL-Designの石けん。
この2、3週間の間に、何の脈絡もなく、
ぼくが出会ったものと出来事を書き並べたに過ぎません。
でも、ひとつの共通点がある気がします。
それは、土地の力。
あたり前のことかもしれませんが、
人が作るモノには、その土地と強いつながりがあります。
その土地でなければ、生まれなかった何かが、必ずあります。
あらゆるモノは、風土や気候、そこに住む人たちの気質など、
その土地の磁力に影響されて、生産される。
そして、その磁力から生まれたものが、
これからのぼくらの暮らしに強い影響力を持つのではないか。
漠然と、そんなことを考えています。
いや、そう考えざるを得ないことが、
いま、ぼくの周りにたてつづけに起こり、
気になって仕方がないのです。
かつては、土地の磁力から離れたモノが、
圧倒的に支持されていました。
その代表が、巨大メーカーが作る、大量生産品です。
ぼくら、昭和20年代や30年代に生まれた人間も、
土地の磁力から離れる生き方を目指してきました。
遠くへ、少しでも遠くへ。
遠くから、もっと遠くから、少しでも高性能なモノを。
そして、いま。
帰るべき場所に帰ろう。
近くで、いや、自分が立っている足元で、
生まれるモノを、見つめ直そう。
一見、バラバラに起っていることが、
指し示すのは、大きな時代の転換点。
土地の力に根ざしたモノ作り。
土地の力に呼応する生き方。
それを無視して、
これからのぼくの仕事や暮らし方は、ありえない。
そんな気がしています。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第89回 土地の、力。
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