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第80回 C.I.って知っていますか?④

北海道のみなさん、こんにちは。

ほんの思いつきで、C.I.について書きはじめたら、
思いがけず、長い連載になってしまいました。
でも、そろそろ「結論」らしきことを言うタイミングのようです。

ところで、みなさんは、
CMは誰のものだと思われますか?
商品を売るため、イメージアップを図るために
作るのだから、クライアントのもの?
いや、見る人に好感を持たれなくては、
CMを作る意味なんてないのだから、
消費者、つまり「あなた」のもの?
ちょっと待ってください。
CMと言えども、それを考えて、手塩にかけて作り出す、
ぼくら制作者がいなくては生まれないんです。
だから、CMは、作り手のものでしょう。

もちろん、どこにも、正解はありません。
CMは誰のものかなんて、不毛な議論。
クライアントが発信し、作り手が工夫をこらし、
消費者がそれを受け止めて、商品とその企業に好感を持つ。
CMは、そのためのコミュニケーション・ツール。
結果的に購買につながらないと意味はないけれど、
それは、消費者のニーズと商品力しだい。
好感を持たれてなんぼのもの。
CMは、誰のものでもない。

でも、C.I.は、だれのもの?
ロゴが出てきて、大事な企業スローガンを
言ったりするのだから、
そこだけは、クライアントのものでしょう。
そう、実際、こと、C.I.に関しては、
クライアントも目の色を変えて、制作に身を乗り出します。
ここは制作者の言いなりにはならない。
企業姿勢をアピールするのだから、
CMとは切り離して考えて作ろう。
C.I.は、100%クライアントのものだ。
そんな空気が生まれます。
ほとんど場合、C.I.は、CM本体の制作者の手を離れ、
広告代理店やブランディング専門の会社と、
クライアントの間で作られます。
そして、ぼくらは、その「素材」をいただくだけ。
犯すことのできない聖域なのです。

たった1秒や2秒のC.I.だけれど、
たくさんのCMを作る大企業ともなると、
CMを打った数だけC.I.が人の目に触れるのだから、
その効果たるや、絶大です。
ひとつひとつのCMとは違った累積効果があり、
そこからスケールの大きな企業イメージが
生まれることも確かです。
でも、しばしばC.I.は、CM本体と切り離して作られるために、
CMのトーンとはまるで違うものになることがあります。
15秒のCMなら、13秒間、しっとり、
静かな雰囲気だったのが、残り2秒のC.Iで、
大音量で企業の名前をサウンドに乗せて言う(歌う)。
そんなことが、起ります。
つまり、大逆転。
たった1秒や2秒で、CMは、印象の上では、
クライアントのものになってしまうのです。
ある意味、C.I.があまりにも強烈であるために、
「CMはクライアントのものだ」考えているとしか思えない
CMになってしまうのです。

それにしても、われわれ広告の作り手とクライアントは、
C.I.に過剰な期待をし過ぎているのではないでしょうか?
それが、一方的にクライアントの言いたいことを言っている
だけのCMなんて、見向きもされません。
でも、テレビから流れる限り、
消費者は、CMをいやでも見てしまう。
見てくれている。
C.I.は、消費者に、何かを擦り込むことができる。
そんな「おごり」のようなものがあるから、
日本のCMは、世界に類を見ない「C.I.王国」になっている。
そうとしか、考えられません。

でも、時代は、大きく変わろうとしています。
CMスキップ(CMを飛ばして番組を見る機能)が生まれ、
おもしろいCMを、YouTubeで見る若者だって少なくありません。
そうなると、あらゆる映像ソフトとCMが横並びになり、
純粋におもしろいCMだけが生き残って行くようになるでしょう。
そう、「消費者は、CMをいやでも見てしまう。見てくれている」
時代は、もう終わろうとしているのです。
テレビと消費者の関係が、大きく変わっていくのです。

いままでのような考え方のC.I.は、
そこではもう意味をなさないか、
邪魔なもの、あまりにも一方的な押しつけになるでしょう。
CMは、誰のものでもなく、コミュニケーション・ツールである。
その、あたり前の考え方に戻らなければ、いいCMが生まれない。
そんな時代が、もうすぐそこまで来ているような気がします。

それ、あなたの好きなC.I.ですか?
何かを、強く押し付けられている気がしませんか?
CMそのものを、邪魔していませんか?
ちょっとC.I.を気にして見てみてください。
どんなC.I.かで、そのクライアントの
CMに対する考え方がわかってしまう。
もしかしたら、
消費者に対する目線さえ、わかってしまう。
・ ・・かもしれませんよ。

(おわり)


(2009年05月28日)

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