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第64回 ぼくの、代官山物語 ①

北海道のみなさん、明けましておめでとうございます。
今年も、ここ東京から、CMディレクターが日々感じたことを、みなさんへの気ままぐれな手紙のように、書いていきたいと思います。

今年の、ぼくの初夢は何だったかな?
残念ながら、記憶にありません。が、初夢ではないけれど、年に何度か、決まって見る夢があります。それは、東京の、代官山という街を舞台にした夢。そこに、ぼくが長年住み続けた懐かしいマンションがあるのですが、空き部屋があることを知ったぼくが、もう一度住み始める、いや、住み始めようとして、そこで終わるという夢を、よく見ます。

ぼくが代官山に住むようになったのは、ちょうど30歳になった年、1984年のこと。最初に住んだのが、代官山東急アパートメントという、賃貸マンションで、以来17年間、ずっと同じところに住み続けていました。正確には、住んでいた時期と、事務所にしていた時期とがあるのですが、住んでいない時も毎日そこに通っていたので、とても愛着のあるマンションです。もちろん、代官山という街も、大好きです。
でも、実際には、バブル期を挟んで、どちらもすっかり変貌をとげてしまいました。そして、夢の中に登場するのは、住みはじめた頃の懐かしい代官山と、東急アパートメント。
夢の中で、ぼくは思います。

なんだ、まだそのまま残っていたじゃないか。
懐かしいな。やっぱりぼくは、この街とこのマンションが好きだ。

夢の中で、ぼくはマンションの管理事務所まで訪ねます。

え!?空き部屋もあるの?
事務所を借りようか。
いや、ここに住むのもいいな。

そんなことを、思っているうちに目が覚める。
妙に生々しい、空想とも言うべき「夢」です。

代官山を離れ、東京でもっとも人口の多い、神奈川県に隣接する世田谷区に住むようになって、すでに、8年経過しています。それなのに、どうしてぼくは、繰り返し代官山の、かつて自分が暮らし、仕事をしたマンションに戻る夢を見るのか? 不思議です。現実のぼくは、別に、いまさらそこに住もうなんて、まったく思ってもいないのです。なぜなら、代官山と言う街は、ぼくが住んでいた頃とは、まるで違う、なんとも落ち着きのない商業地区に変わってしまいました。それに、17年住む間に、駐車場だったところに新築された代官山東急アパートメントには、入居者募集の看板がいつも出ています。もう一度そこを借りようなんて、まったく思いもしない。ぼくが、夢に見て、戻りたいと思うのは、あくまでも1980年代の、住みはじめた頃の代官山であり、古い、建て直される前の東急アパートなのです。
なんて、書きはじめたら、ぼくの代官山時代のこと、東京というところで、広告の仕事をしている人間と街の関係、そんなことを振り返り、お話してみたくなりました。つづきは、また次回。
つれづれに、思いつくままに。今年も、よろしくお願いします。


(2009年01月08日)

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