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第57回「明るいナショナル」から、「Seeds Of Tomorrow」へ

北海道のみなさん、こんにちは。

♪明るいナショナル、明るいナショナル、

うちじゅう、みんな、なんでもナショナル

http://jp.youtube.com/watch?v=LA1-W-HdnGE

この歌を、もうテレビから聞くことはありません。

代わって流れているのは、ドリカムの歌「Seeds Of Tomorrow」。

http://jp.youtube.com/results?search_query=パナソニック ドリカム&search_type=&aq=f

社名が、ナショナルからパナソニックになって、だれでも口ずさめる覚えやすい歌から、人気アーチストが歌うイメージソングへ。社名も、CMソングも、いまのところ、ちょっと遠い存在になってしまいました。

「明るいナショナル」は、三木鶏郎による作詞・作曲。

♪ワ、ワ、ワ、輪が三つ、のミツワ石けん

♪ジンジン仁丹、ジタカタッタタ~、の森下仁丹

♪クシャミ3回、ルル三錠、の三共ルル

などなど、三木作品は、ぼくらがこどもの頃、テレビから盛んに流れていて、もう頭の中に完全に刷り込まれているCMソングばかり。

ぼくが子ども時代を送った1960年代は、まさにCMソング全盛時代でした。中には、全国区じゃない、地方だけで流れるCMソングもたくさんありましたね。たとえば、岐阜出身のぼくなら、♪ぼくのとなりのおばさんは、アメリカ帰りのおばさんで~、と中村メイコが歌う、マルアイ花かつおのCMソング(作曲は神津善行)が、いまだに頭にこびりついています。たぶん、まだ、いっしょに歌えます(笑)。北海道のみなさんにも、40代後半以上の人なら、きっと、北海道ならではのCMソングがご記憶にあるはず。それくらい、あの頃のCMソングは、高度経済成長時代の勢いに乗って、元気いっぱいでした。そして、ひとたび人気になったCMソングは、息が長い。時代が、どんなに変わっても、クライアントがなかなか変えたがりません。企業と、消費者を結ぶ、固い絆。何年、何十年と使ってうちに、そのCMソングと共に、さまざまな良い時代の記憶がよみがえってくる。♪明るいナショナル、のメロディーを聴くだけで、ぼくなら蛍光灯にこうこうと照らされた居間で、お袋や親父が、並んで水戸黄門を見ている姿が、すぐに思い浮かびます。

あの曲と共に育った子どもたちの、その子どもたちも、知っている。そして、その子どもたちが、CMソングを口ずさむ年齢になりかけたいま、テレビから聴こえてくるのは、♪パナソニック、明日の種をまくのは、いまなんだ~、というドリカムの歌。どう見ても、曲の良し悪しは別にして、子どもからおじいちゃん、おばあちゃんまで、いっしょに歌える曲じゃない。「明るいナショナル」に比べたら、「Seeds Of Tomorrow」、明日の種をまくという発想自体が、みんなの心をとらえるには、ちょっと抽象的です。覚えるより先に、考えさせてしまう。20年、30年先まで、記憶に残り、口をつく歌になるとはとうてい思えません。でも、ドリカムを起用した企業の気持ちは、よくわかるんです。何万といる社員の気持ちをまとめる、会社の上層部にも有無を言わせない、お茶の間の人に、まずは好感を持って迎えられたい。そこで起用するアーチストとして、ドリカム以上の存在は、なかなか思い浮かびません。

三木鶏郎という、キャッチフレーズをもメロディーも同時に考えることのできた天才音楽家がいて、松下幸之助というカリスマ経営者がいた。CMソングなんて、パッとできて、よっしゃ!で決まったに違いありません。伝わるスピードが速い表現とは、そんなものなんです。時間をかけて、大物アーチストを起用して、考え抜いたメッセージをこめた曲と共に、船出したパナソニック。さて、どこに行き着くのでしょうか?


(2008年10月16日)

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