北海道のみなさん、こんにちは。
地方ロケのおいしいものの話をして、北海道のことに触れないのでは、片手落ちですね。もちろん、北海道も、スタッフには人気のロケ地。おいしいものを食べられる気がするし、とりわけススキノは、若い人をどことなくワクワクさせる街のようです。でも、ぼくの北海道の食の評価は、あまり高いものではありません。こうして、それなりに長くコラムを書かせていただいているよしみで、正直に言わせていただくと、北海道でほんとうにうまいと感心するものに出会った記憶が、あまりないのです。
例によって、北海道でもロケーション・コーディネーターがいて、それぞれの人が、独自の全道のおいしいものマップを頭の中に入れていて、スタッフを案内してくれます。昼なら、やっぱりラーメン。行列のできる店に、いかにタイミングよく入るか。他のコーディネーターが知らない人気店を、どれだけ知っているか。競い合っているようにすら思えます。夜は、なんと言っても海産物中心。でも、ぼくの記憶をたどってみると、野菜料理も肉料理も、何でもありの居酒屋ばかりが思い浮かんできます。もちろん、メニューに、ほっけや、旬のアスパラやギョウジャニンニク、トウモロコシ、ジャガイモ、締めにいくら丼などあれば、多いに盛り上がってオーダーするのですが、正直、どれも料理と言うには、いささか単純なものばかり。
よく言われることだと思うのですが、北海道は、素材の鮮度とおいしさに頼っている。いわゆる素材大国なのだと、やっぱり、思わざるをえません。料理人が、その素材の良さを理解して、格闘し、調理した結果として、ピンと張りつめた空気のある料理に出会ったことが、残念ながら、まだないのです。もっとも、スッタフ大勢で押しかけることが大半なのですから、単純に、レベルの高い店に行っていないだけかもしれません。たまたまかもしれないけれど、ノンジャンルの居酒屋料理、カジュアルな素材本意の料理に逃げている店が多い。誤解を恐れずに言えば、どうも、その傾向が強い気がするのですが、どうでしょう?
ぼくが、初めて北海道に行ったのが、1970年代前半。その頃から、ラーメン、ジンギスカン、石狩鍋、ほっけ、いくら丼、北海道でおいしいとされるもののラインナップはほとんど変わっていません。最近では、カレースープでしょうか?どれも、おいしくないわけではないのですが、ちょっとワンパターン。停滞している感じすらしてきます。歴史を感じさせる郷土料理や、老舗店の年期の入った味に出会うわけではない。ならば、新しい味の探求を感じたい。そう思うのは、ぼくだけでしょうか?
つい一昨日のこと、NHKでとても興味深い番組を見ました。先の、洞爺湖サミットの折、ザ・ウィンザーホテルで、外務省から総料理長として抜擢された、中村勝宏さんのインタビューを中心にしたドキュメンタリー番組。
正直、サミットはいいけれど、ウィンザーホテルで大丈夫なのか?と、ぼんやり考えていました。やっぱり、こういう人が、サミットのために呼ばれていたんですね。番組では、中村さんが、毛ガニや、ジャガイモ、羊肉など、北海道ならではの素材を探し求めて、産地に行き、人に出会って、その確かさやこだわりを心に刻んでから、料理を考えて行く様子が取材されていました。その探究心は、すばらしいものでした。中村さんが、当分ウィンザーホテルにいらっしゃるのなら、ぜひ、その料理を食べに行きたいと思ったほどです。カニ、シャケ、イクラ、ジャガイモ、アスパラ、そして羊肉。その食材は、ぼくらにもなじみの深い、まさに、北海道。それが、あそこまで生まれ変わることができる。いえいえ、ロケに行って、そんな究極の食に出会おうなんて思っているわけではありません。でも、まだぼくの出会ってない、中村さんに負けない情熱を持った料理人は、北海道のいたるところに、たくさんいるに違いない。ロケで行った時は無理かもしれませんが、いつか、そんな新しい北海道の息吹を感じさせる料理に、出会ってみたいものだと思っています。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第51回 撮影は食にあり(4)北海道のおいしいものって?
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札幌の街中を歩いていて
観光客らしき人から「美味しいラーメンはどこですか?」
と訊かれるのがけっこう困ります。
本当においしいラーメンって、あまり街中にはないし。
「あ。僕も最近来たばっかりなので…」とか言って、
逃げます。