北海道のみなさん、こんにちは。
最近、CMを作る現場で、けっこうピリピリしたムードのなるのが、クレーム対策。
たとえば、つい最近、表参道で撮影したときのこと。ここは、歩道の道幅が広く、街路樹に囲まれたまっすぐに伸びる道に、高級ブランド店が立ち並ぶ、東京でももっとも美しい繁華街です。昔から、撮影も多いのですが、最近、ここは写せない、ここは許可が必要などと、すっかり撮影しにくい場所になってしまいました。「うちのビル(店)は写さないでくれ」というクレームを恐れてです。なんとか、撮影はできましたが、希望通りには行きませんでした。あるビルのオーナーの許可が得られなかったからです。
建物に、そんな肖像権があるのか、法律的には判断が微妙なはず。パリのエッフェル塔のように、ちゃんと肖像権が認められていて、撮影時には財団に著作権料を支払わなければならない例外もありますが、それ以外には、世界的にも、公共の建物を「写すな」と主張できる権利は、あまり聞いたことがありません。
以前、あるCMで、東京の住宅街を空撮した時のこと。広告代理店の担当者が「うちは写さないでくれと、クレームをつける人がいたら、どうするんだ?」と言い始めた時には、お手上げでした。空から住宅を写して、「うちの屋根が写っている。どうしてくれるんだ!」とクレームをつけてくる人が、果たしているのかどうか。(実際には、ちゃんと写して、何のクレームもなかったのですが。)
去年、クレームがついた結果、わざわざそのシーンを撮影し直したCMもあります。道路で、女子高生が乗る自転車が横並びになって走っているシーンを見て、「道交法違反ではないか?」というクレームが数件寄せられたためです。クライアントの指示で、同じ場所で、今度は道の左側を、縦並びで、自転車が走るシーンを撮り直しました。でも、そこは、普段、住宅街の中の、ほとんど車も通らない細い道。そんな場所なら、通勤や通学で、自転車が横に並んで走って、ちょっと挨拶を交わす程度のことは、よくあることでしょう。地元の方々も、どうしてわざわざ撮影し直すのか?と、笑っていましたっけ。
あまり大きな声では言えませんが、東京近郊の、あるエリアには、有名なクレーマーという人も存在して、その人の「告発」で、撮影中止や、撮り直しが、過去何度も起っているというケースもあります。クレーマーは、もちろん、正論を言ってきます。あまり人の通らない場所に、カメラの三脚を立てて風景を撮るだけでも、そこが私有地や私道でない限り,警察の撮影許可証が必要です。海岸で犬を散歩させる時、リード(引き綱)なしで散歩させてはいけないという条例も、地域によってはあるようです。でも、実際には、ほんの数分の撮影だからと、許可を取らなかったり、映像になった時「うるさいから」と、リードなしで散歩するするシーンを撮ったりする、いや、撮ったりしたものです。でも、人に何ら迷惑がかからないと思われる撮影でも、CMを見て、許可は取ったのか、条例違反はしていないかと、いちいちチェックして、告発する人というのも、世の中には存在するんですね。告発されれば、もちろん、無許可や条例違反している方に、分があるはずはありません。
いま、製作中のCMに、がん患者が出てくるものがあります。と言っても、俳優さんが演じるがん患者なのですが、車の運転をしている最中に、病気のことを気にして、信号が変わったことに気がつかないというシーンを撮影しました。編集したそのシーンを見て、クライアントの方が、心配し始めました。「がんの患者さんや、団体からクレームがつくかもしれない」と。さすがに、これは特殊なケースですが、がん患者じゃなくても、心配事があって、ほんの数秒、信号が変わったことに気がつかないなんてことは、よく起りがちなこと。一体、どんなクレームが予想されるのか、想像もつきません。
世の中、どんどんクレーム社会になっているなぁと、つくづく思います。このままでは、ほんとうに息苦しくて、撮影できなくなるのでは?と思うほどです。
でも、ずいぶん以前のことですが、「きっとこれは、クレームがつくに違いない」と予想して、あえてそのCMをオンエアーしたところ、予定通り?にクレームがつき、話題になったCMというのもありました。次回は、そのCMのお話などもしてみたいと思います。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第39回 クレーム社会のCM(1)
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