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第28回 最近のCM事情(1)CMの保守化?

北海道のみなさん、こんにちは。

ぼくもそうでしたが、年末年始ってけっこうテレビを見る機会が多いですね。
新年を境に、衣替えするCMもたくさんあります。
最近のCMについて、みなさんはどんな感想をお持ちでしょうか?
ぜひご意見を伺いたいものだと思いますが、今日は、一CM制作者から見た最近のCMについて、ちょっとお話しさせてください。

昨年、自分が手がけたCMを振り返ってみると、いわゆるヒューマンなタッチのCM、心のひだを描いたり、それに触れようとするCMが多かったなぁと思います。
家庭内や行きずりの殺人事件なども多く報道され、まさに殺伐とした世相です。
政局は混沌として、強く、信頼に足るリーダーが不在のまま、迷走しています。
そんななか、どこか気持ちが安らぐCM、見る人を懐かしい気持ちにさせるCM、家族を描いたCMなどがとても増えている気がします。

昨年後半から、郵政民営化を受けて、日本郵便のCMがものすごい量で流れていました。
年末からは、年賀状のCMもいろいろなタイプのものを見かけましたね。
郵便局が、JPと変わり、郵政事業始まって以来の大変革である割に、CMはむしろ、誰の心にもある、懐かしい郵便局や年賀状のイメージに戻ろうとしているかのようです。

ちなみに、昨年ぼくが演出したこのCMを見てみてください。
いま、企業が、どんな風に商品と人との関係を捉えようとしているかがよくわかる、普遍的なのだけれど、かつてなかった、まさに「今どきのCM」だと思います。

世界的に進行する環境破壊と地球温暖化の影響も、ますます深刻さを増しています。
企業が商品を離れて、企業活動のポリシーを語る、いわゆる企業CMで、エコロジーをテーマにしたCMも多く見受けられます。
例えば、トヨタ自動車のタモリこと森田一義さん出演の「エコ・プロジェクト、あしたのハーモニー」などがいい例です。
直接エコロジーをテーマにしていなくても、環境や自然との共生をうたうことは、いまや「企業の常識」と言っていいと思います。
ぼくが手がけたものでは、昨年末にできあがったばかりで、今年になって盛んに流れているこのCMなどは、その好例です。

どれも、正しいことを語ろうとし、そこには、環境に配慮したり、消費者の生活感に寄り添ったCMを作ろうとする企業姿勢が見えます。
それはいいのだけれど、そんなCMがたくさんテレビから流れてくる時、消極的な感じや元気のない感じを受けるということはないでしょうか?
一言で言うと「CMの保守化」という傾向を、ぼくは強く感じています。

CMは、本来、新しい商品と企業の情報を知らせる「ニュース」なのだと思います。
ニュースの鮮度は、確実に落ちています。
そして、たとえば企業が、環境や自然との共生、エコロジーに取り組むのなら、CMが実際のそれに勝ることがあってはなりません。
下手をすると、イメージばかりが先行して、「免罪符」の役割をCMが担ってしまうことになりかねません。
実を言うと、ヒューマンなタッチのCM、エコロジーやノスタルジーを感じさせるCMは、ぼくの得意とするところです。
でも、それだけに、そんな危惧もしてしまうのです。
実際の商品や企業活動を消費者の目線(自分もそのひとりだとして)で語る、節度や身近さは必要だと思うけれど、CMが新しい時代を切り開くパワーになるのではなく、保守化しているのだとしたら、ヒューマンだ、エコロジーだと、喜んでばかりはいられないなぁと思う、今日この頃です。

来週は、CM制作の現場が、いまどんな状況かについてお話ししてみようと思います。


(2008年01月17日)

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