北海道のみなさん、こんにちは。
先週の記事に書いたように、CM撮影隊が北海道に行く理由のひとつに「天気」があります。とりわけ東京周辺が梅雨入りしているシーズンともなれば、特に北海道らしい風景を必要としていなくても、「雨が降らない」という理由だけで「じゃあ北海道でロケしようか?」となるのです。でも、その北海道で、梅雨とはいかないまでも、それに近い雨がちな日が続くことがある。本当だとすれば、困った事態です。
それにしても、撮影という仕事には、「天気との戦い」がつきものです。
それに、ぼくのようなCMディレクターには、ロケーションが多いタイプとそうでないタイプ(主にスタジオにセットを組んで撮影することが多いタイプ)とがあり、ぼくは若い頃から完全に前者なのです。もうかれこれ20年以上も、「今度のロケの天気はどうだろう」?と、いつでも、どこに行っても、そんなことばかり気にしながら仕事をしています。
そして、振り返ってみると、10年以上前から、世界中どこに行っても、「今年は、異常気象で」という言葉を、嫌になるほど聞かされてきました。
タイのプーケットで、南イタリアの小さな町・アマルフィーで、南仏はニースで、ハワイで、ニュージーランドで、オーストラリアで、「今年は、異常気象で」と現地の人がすまなそうに言うのを聞きながら、何度天気待ちしたことか。雨が少ないから、という理由で映画産業の中心地になったはずのハリウッドでさえ、ずいぶん前から天気に関しては油断のならないところになってしまいました。逆に、パリはパリらしく、曇り空で撮影したいのに、何日も晴天が続いて困った、なんてこともあります。少し前まで、ホテルにさえ冷房のなかったパリで、30度以上の猛暑が続くことも、珍しくなくなりました。
まぁ、結果的には、なんとか撮り終えて帰ってくるのですが、ここにきて盛んに言われるようになった「地球温暖化による異常気象」を、ぼくらはいち早く肌で感じてきたのかもしれません。
CM撮影と一口に言っても、大小、さまざまな規模があります。最短で一日、長くて一週間程度、もっとも多いのが2~3日かかる撮影でしょうか?そして、晴天であることの重要度に応じて、撮影には必ず「天気予備日」というのを設けます。3日かかる撮影なら、1~2日の天気予備がある、という具合に。
ところが、撮影のスケジュール表には、ちゃんと「天気予備」と書いてあっても、実際には、その日に撮影があっては困る、形ばかりの天気予備というのが増えてきました。CM撮影でも、予算の削減はたいへん厳しいものがあり、天気予備日を使うということは、即、数十万、数百万単位で余計な出費をすることを意味するからです。
それに、ここ10数年来、CM業界を有名タレントが席巻し、超多忙な彼らのスケジュールに合わせた結果、撮影予備日もままならないということが増えてきました。
世界的な異常気象と、予算の削減、タレントCMの増加。
それでも、毎回毎回、なんとか撮り終え、いくつものCMが世に出て行っているのが、ほんとうに不思議なくらいです。
多少の天気の悪さは、後でなんとかなるという、デジタル画像処理の飛躍的な進歩にも、大いに助けられているのですが。
ぼくらはよく「天気男」だの、「雨男」だのと言って、ジンクスを気にしたり、縁起をかついだりします。「ぼくは雨男だから、ロケには行かないよ」と真顔で言うプロデューサーがいたり、「ぼくは天気男だから、安心してくれ」が口癖のカメラマンがいる、という具合に。(ちなみに、ぼくは「ハラハラ男」。ハラハラさせるけれど、最終的にはなんとか帳尻を合わせるタイプのようです。)
生憎の雨で一日を棒に振ったとなれば、「お天気祭りだ!」などと言って、気分転換に浴びるほど酒を飲む豪傑(いちばん天気に敏感な照明のスタッフに多い)もいます。
最近では、携帯で簡単に天気予報をチェックできるようになったので、撮影当日、雲行きが怪しいと、スタッフがあちらでもこちらでも携帯とにらめっこしている姿を目撃します。
撮影という仕事がある限り、時にほほえましく、時に深刻な「天気との戦い」の姿が、なくなることはありません。
そう言えば、たった一日、いやたった数時間の撮影時間しかなくて、北海道でロケしたことがあります。
次回は、その撮影の思い出など、お話してみようと思います。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第15回 CM撮影と天気の、のっぴきならない関係
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