北海道のみなさん、こんにちは。
今日お話するのは、1999年に撮影したソニー・ハンディカムのCMについて。
画像を見ていただこうと探したのですが、見つかりません。
というのも、このCM、ぼくの中ではたいへん悔いの残る結果で、もしかしたらコピーを手元に残さなかった可能性があります。
ビデオ・カメラの商戦は、主に4月前の新入学時と秋の運動会時期にピークを迎えます。
新入学のCMと言えば、たいてい2月の初旬に撮影することになります。まだ冬まっさかりの時期に、桜の木や桜の花びらを、仕込んだりCG合成したりして、春の演出をするのが定番です。
そして、運動会時期に向けたCMは、7月はじめ頃、撮影するのが一般的。
でも、その時期、東京周辺は、梅雨に入っています。
なにしろ、運動会シーンともなれば、大人や子ども、それに先生役まで含めると、数百人規模のエキストラが必要になります。
その経費だけでもばかにならないので、制作会社の人たちも、できるだけ協力的なところを探そうとします。そうでなくても、東京周辺では、撮影などといてい不可能というくらい、学校側は非協力的。ここ何年かの間に、小学校の治安・安全管理を脅かされる事件が相次いだので、なおさらです。
それに、数百人の出演者と、数十人の撮影スタッフを集めておいて、天気が悪くて撮影が中止ともなれば、大変な損害です。スタンバイした時点で、何百万円もの制作費が発生します。撮影をスタンバイしなければならない、一週間、二週間先の天気予報などあてにはならないので、梅雨時ともなれば、いつにも増して、撮影はギャンブルです。
おかげで、7月の北海道は、一年でもっとも撮影隊の多い時期になるのだそうです。
多くの撮影隊が、天気のリスクの少ない北海道を目指すから。
それと、もうひとつ、北海道に限ったことではないのですが、数百人規模のエキストラが必要となれば、東京周辺より地方の方が、うんと協力的であるという現実もあります。
最近は、各地方自治体に、CMや映画の撮影で便宜を図ってくれる、フィルム・コミッションというものが数多くできました。県や市、道のフィルム・コミッションが、ロケーションの場所や、無料で出てくれるエキストラを手配してくれたりもします。
我々、演出家の立場から言えば、東京周辺の撮影慣れしている人たちを写すより、地方の「素朴な」人たちを写す方が、よほど楽しく、いい表情も撮れるのです。
しかし、いまでもはっきり覚えているのですが、ロケハンでその学校にうかがった時、校長先生が不吉なことをおっしゃるのを耳にしました。
「世界的な異常気象で、北海道でも、最近は、ちょっとした梅雨のような時期があるみたいです」と。
いやな予感は的中し、撮影当日は、朝から厚い雲に覆われ、とうとうまったく太陽が顔を出さないまま撮影が行われました。
なにしろ、札幌の子どもたちと父兄が、300人も集まっているのです。
よほどのことがない限り、撮影を中止したり、途中で止めたりするわけにはいきません。
それに、幸か不幸か、いまどきの撮影は「後でなんとかしよう」となるのです。
いっこうに光の差さない、曇り空の運動会シーンを、後で、デジタルやCG合成の技術をフルに使って、精一杯晴れているような印象の画作りにして行けばいい、と。
そんなわけで、曇り空の中、札幌市内の某小学校で撮影したソニーのCMは、その後、お茶の間の人が見たら、何ら違和感を持たないほど、まずまず、よい天気のシーンに生まれ変わってオンエアーされました。
でも、当事者であるぼくからしたら、どうにも悔いが残り(もちろん本当の晴天で撮った画に敵うはずもなく)、ぼくのフィルムライブラリーに残っていないみたいなのです。
ちなみに、渡部篤郎と田中律子が父兄の役で出演していたCM、と言えば、なんとなく覚えていらっしゃる方も多いかもしれません。2年ほど、そのふたりでハンディーカムのCMが作られていた時期がありました。
そろそろ、ビデオカメラのCMが、運動会シーンに切り替わる頃です。
どこかで見たことのある(北海道の)学校が登場していないか、どことなくウソっぽい青空になっていないか、何人くらいのエキストラが写っているか、なんてちょっと気にしながら見てみるのも、おもしろいかもしれませんね。

ちなみに、このシーンは、北海道で撮影した翌年、確か山梨県の小学校で撮影した、同じくソニー・ハンディーカムのCMのものです。
こんなアップのシーンなのに、100人くらいの子どもたちがエキストラ出演してくれました。倒れる子が出るのでは?と思うほど、酷暑の中で撮影したのを覚えています。
このブログ記事を参照しているブログ一覧: 第14回 ソニー・ハンディーカムの撮影~札幌
このブログ記事に対するトラックバックURL: http://spiritlink.80code.com/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/756
コメントする